アメリッシュガーデン改

姑オババと私の物語をブログでつづり、ちいさなガーデンに・・・、な〜〜んて頑張ってます

陣痛がはじまったのに、産まないと立てこもった妊婦【結婚と高齢出産】小説と映画『理想の出産』

自分の母親を病室から追い出した理由

 

「優ちゃんだから」

この免罪符が発行されると、周囲はそれを納得するしかない義理イトコの優ちゃん。

 

変でしょうとお思いのかた。

御本尊にお会いになって、小1時間ほどお相手なされば家族の気持ちがわかると思う。

 

あやつの武勇伝、書くには、もうね足りない。スペースが足りない。

 

例えば・・・、古い話ですが。

私と夫と子どもで海に遊びに行った時です。

当時、まだ私は若かった。子どもが生まれたばかりだった。

 

高速道路を走っていました。

そして、なぜ、ここに優ちゃんがいるのか、私にはわからなかった。

 

夫は一言。

「オババに頼まれた」

「なにを?」

「あのイトコに結婚を教えよとな」

「なんで、あなたが」

「親戚で結婚して、近くにいるのは俺だけだ」

「すみません。意味がわかりません」

 

今ならわかる。

 

オババ様は家族の行く末を憂いていたのだ。このまま、年を重ねさせてはマズイ、なんとかせねばと考えたのだろう。で、あさはかにも、私たちを見れば、優ちゃんが・・・

 

で、道中のことさ。

 

子どもの世話で車の後部座席にいた私。そして、助手席に座った優ちゃん。

オババの忠告を忘れていたと夫は後で言ったが、大抵、後悔は先にはできない。

 

高速道路を走る途中、優ちゃん、なにを思ったか、突然バックミラーをクイっと自分の方向に向けた。

「こら、何をしてる!」

夫が聞いた。その時はまだ冷静だった。

「うん、優ちゃんね。日焼け止めクリームを塗ろうって思うの」

「バックミラーを戻せ!」

「だから、顔をみたいの」

「運転中はダメだ」

夫は片手でなんとかミラーを戻した。私は驚きながら、マジか、この女、何考えてるなんて思っていた。

と、優ちゃん、次に、その手がサイドブレーキに。

気づいた私は思わず。

「優ちゃん、なにをしてるの」

「うん、このレバー、引いたらどうなるかっておもって」

夫の顔が真っ赤になったが、何もいわずサイドブレーキを左手で抑え、次のパーキングに全速力で向かった。

車を止めた。

そして、一言も口を聞かず、助手席を開けたんだ。

「出ろ!」

「お兄ちゃん」

優ちゃんは夫を兄と呼んでいる。

「どうしたの?」

「降りろ!」

 

ま、そんなこんなのてん末で助手席に優ちゃんを乗せちゃいけないって教訓を得たわけだ。

助手席には3歳のイヤイヤ期の子のほうが、まだマシであった。

 

産婦人科病棟にて

 

さて、現在です。優ちゃんが臨月でいる産婦人科になんとか到着した私。優ちゃんは、まだ破水はしていないという。どうも微弱陣痛らしいが・・・

今回の発端は、優ちゃんの母が高齢出産だからと無痛分娩の上に、妊娠促進剤を使って妊娠をはやめようとしたことが原因だったようで。

全力拒否した優ちゃん。

病室に立てこもって、叔母やオババ様を個室に入れない。

 

で、なんで私が?

個室に入ると、優ちゃん、大きなお腹でよっこらしょって歩きながら、ドアに椅子を置いて、開かないようにしてる。

 

ほんと、もう、このイトコ、全く行動が読めない。陣痛の間隔は10分前後になっているみたいで、ときどき、顔をしかめながらも、優ちゃんが微笑んでる。

 

で、私、おそるおそる聞いてみた。

「なぜ、私が必要でしょうか」

「だってね、家族で子どもを産んだことがある人に、そばにいて欲しかったの」

「へ?」

私は、頭のなかでもう一度、「へ?」って思った。

相変わらずの意味不明の言動。

「でも、優ちゃん、叔母さんがいるじゃない。優ちゃんを産んだのは叔母さんよ」

「違うわ、アメ姉さん。優子はコウノトリが運んできたって、ママは昔から言ってたもの。だからママは私を産んでないの」

もうね、言葉がない。

わかった。優ちゃん、仕方ない、あんたはコウノトリが運んできた説。ここは面倒だしその説に乗っておこう。でも、オババもいる。

「オババ様だっているじゃない」

「アメ姉さん、オババ様だって子どもを産んじゃいないから」

いや、私の夫は、そのオババ様から生まれたんです。

「どうして?」

「だって、あのオババ様が。あんなことや、こんなことをして、それで、赤ちゃんを産むなんて、優子、信じられない」って、優ちゃん、顔が赤い。

うん! わかる。

いやいや、ここでわかっちゃいかん。わかっちゃいかんが。

オババのあんなことや、こんなこと。

 

うわ、想像できない! むしろしたくない!

 

「それで、陣痛は?」

そういうと優ちゃん。「あっ」と言った。

「痛い、また、痛い」

 

あんたは人に言われなきゃ、痛みもわからんのかい!

 

つづく

 

この続きはこちらへ

funyada.hatenablog.com

 

このお話は、下記から始まっています。

funyada.hatenablog.com

 

funyada.hatenablog.com 

funyada.hatenablog.com

 

 

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小説と映画『理想の出産』

小説と映画『理想の出産』

小 説

神学ミステリー「クムラン」シリーズで人気の作家エリエット・アベカシスの自伝小説です。

 

フランスは出生率も低くなく、先進国では少子化問題をクリアにできている国。そんな国で大学院時代に妊娠した作家の驚きと困難を描いた物語です。

 

出産に関わる、いろいろな現実に共感するフランス人は多かったようで、

例えば、妊娠中は酒やタバコはダメ、フリンス人に欠かせないチーズも肉も控えろって、もう彼らにとっちゃ生きていくことを否定されたも同然なんです。

そんな生の声をそのまま小説にした物語です。

 

出版当時、すぐにベストセラーになったそうです。日本語での翻訳はないようですが、私が知らないだけかもしれません。 

映 画

監督 :レミ・ブザンソン

映画主演:ルイーズ・ブルゴワン

2012年日本公開

 

世界初のマタニティーシネマといわれました。

誰もが夢見る理想の結婚、しかし、現実は考えていたものとは違う。娘レアを出産、育てる決意ができるまでの、主人公の姿を描いています。

理想ではない出産と子育て、それゆえに心に沁みるいい映画です。

 

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