アメリッシュガーデン改

姑オババと私の物語をブログでつづり、ちいさなディズニーランドに・・・、な〜〜んて頑張ってます

不幸な友の半生と重ねてしまった【有島武郎著『或る女』】

古くからの知り合いの女性。

彼女の現在は不幸だ。本人は、おそらく自分の不幸に自覚がないと思う。ただ自分の怒りを愚痴り続けながら生きている。学生時代からそうだった、自分のことが全く見えてなかったのだ。

 

私がはじめて知り合ったのは、15歳くらいの頃。

普通に幸せだったと思う。

 

彼女は小柄で、とても可愛らしい顔をして愛くるしかった。

ディズニーに出てくるバンビみたいな子だったのだ。そして、私たちはバカを言っては笑いあったものだ。

 

彼女とは中学校からずっと友だと思う。私の一方的な思いかもしれないが、友だが親友じゃない。この感覚をなんていうのだろう。

 

話していると、なんとなく違うと思いはじめる。

とても長い手紙をユーモアのカケラもなく書かれてくるような感じ。ちょうど今日の私のブログのようだ。

 

彼女は、どこか浅いのだ。その何処は上手く説明できない。

つまり、「正しい子」だからだろうか。

自分のことはいつも正しく、そして、曲げない。

そう、彼女の言うことは間違ってはいなかった、でも、押し付けられると息苦しく感じるのも事実だった。

 

そして、一番、困ったところは、私が好きだという男の子に必ずちょっかいを出して、あろうことか必ず落すところだ。

思春期の男の子が思う理想的な小柄で可愛い子だから始末が悪いのだ。

いつのまにか、その男の子は彼女のカレシになっていた。何人も。

 

そして、言う。

「ごめんね、アメちゃん。私も好きだったの。アメちゃん、好きじゃないよね?」

いや、普通に好きだったから。

 

そうして、彼女は結婚した。

大学を卒業してすぐの見合い結婚で、夫はかなり年上だった。お相手は超一流の大学卒で大手企業が欲しいと思う優秀な人材。

 

結婚後にはイギリスの大学に企業留学した夫について渡英した。

その頃には、最初の子どもが生まれていた。

おそらく、その時期が彼女の結婚生活のハイライトだったと思う。

 

当時、彼女からよく連絡があった。

「イギリスにおいでよ。日本と違い部屋も広いし、アメちゃんを泊めるなんて簡単だから」

 

私は独身で忙しかった。仕事をあけるなんてできない状況で、まして英国に行ける状態でもなかった。それに気が重いのも事実だった。

 

数年後には日本に戻り、二人目の子どもが産まれた。

ある日、電話がかかってきた。

「アメちゃん、ねぇ、アメちゃん」と独身の頃と同じ甘えた口調で言った次に、声を落として錯乱した。

「泣き止まない子どもに涙が出て、首を絞めたくなる」

「え?」

彼女は泣いていた。

「だって夫が酷いのよ」

そう、そこにはいつもの彼女がいた。私が学生時代からよく知っている、少しも成長のないまま年を重ねた彼女が。

「私が育児に大変なときに旅行に行くっていうのよ」

「ひとりで」

「会社の人たちとよ。冷血でしょ。ひどいでしょ」

それは社内旅行じゃないのかな?

とは、聞きづらい雰囲気があった。彼女にとって、それは冷血な性格の夫だからできることであって、非難に正当性があるという事だ。

そう、間違ってはいない・・・、と思う。

二人の幼い子がいて、専業主婦である彼女に家事も子育ても任せっきり、全く手伝ってくれない上に、かってに旅行に行く・・・、そう、彼女の不満もわかる、と思う。

「それでどうしたの」

「大げんかして、で、出ていった」

「夫が家出したの?」

電話の向こうで涙ながらにコクリとうなづく彼女が見えた。

 

超優秀なエリートの夫の、ちょっと神経質そうな顔を思い出した。彼は人に対して思いやりに欠けるかもしれない。私からみれば単に不器用な男性に思えた。女の気持ちを忖度することが苦手な男性にいる理系タイプだ。

「ちがう! 旅行に行ってしまったの」

で、ここから、ぐるぐると愚痴が1時間続いて最初に戻るのだ。

夜中に泣きやまない子どもの首を絞めたくなる、と。

 

私にはどうしていいかわからない。

 

そして、年を重ねるごとに、夫婦の関係は冷えさらに悪化した。

なぜなら、電話をかけてくるたびに夫の愚痴はアップグレードしていたからだ。

 

当時、まだ子どものいなかった私には、さっぱりわからなかった。おそらく育児ノイローゼだったとは今なら理解できる。

 

そうして育った子どもたちも成長した。

そして、ふたりの子どもは大なり小なり精神を病んだ。

そのうちの一人が事故死した。

 

彼女は泣き叫んだ。

夫が悪いと罵った。

 

子どもの不幸はすべて夫の責任だと言い切った。

「あの子が相談に乗って欲しいときに、口もきかなかったのよ。なぜ、話をしてくれないの」

「同じ空気を吸っているだけでも腹がたつ」

「あの人、不倫していたのよ」

たぶん夫が悪いのだろう。

 

だが、彼女は離婚しない。

 

「どうして離婚しないの? そんなに嫌いなら」

「だって、離婚したら今の生活ができないじゃない」

 

私は目を閉じた。

彼女は世間的には成功した夫を持ち、裕福な生活をして、もう一人の子どもは立派に育っている。外部からみればセレブ妻で幸せな人生だろう。

 

しかし、彼女の愚痴は続く。エンドレスに続いていくのだ。

私は有島武郎の「或る女」を思い出す。

 

美貌でファムファタールの女主人公だ。

男を落とすことで自分の承認欲求をエンドレスに満たそうとする女。

 

美貌もいつかは色褪せる。

それでも、「或る女」は、ぼろぼろに精神を病み、心を病んだことで美貌さえも失って、なおも男を求め続ける。

 

彼女は何を他人に求めているのだろうか・・・・・

 

なんという人間的で、そして、女なのだろうか。

 

私の友も、おそらく自分のなかに燃えあがる苛立ちの数々で、自らの体を今日も焼いているにちがいない。

 

彼女の半生は幸福なのか不幸なのか。

性格悲劇、私はときにそうとしか思えない人に出くわすことがある。

 

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有島武郎或る女新潮文庫より

或る女有島武郎 新潮社刊

大正時代に発表された有島武郎の代表作の一つ。

 

主人公の早月葉子は男を手玉にとる美女であり、当時の言葉でいう妖婦だった。

奔放な女は、あらゆる男を引きつけド派手な生活を愛する。当時の日本社会は今より息苦しい。模範的な良妻賢母であるべき時代に彼女は心のままに反抗する。

 

彼女の不安や孤独を理解はできるが、承認はできない。複雑な自身の感情に流されるままダンスしていく、悲しい女の物語である。

 

最後は錯乱しながらも、それでも男を手玉に取ろうとする姿が妖気じみて哀れさしか感じない、辛い秀作だった。

 

この主人公の女性にはモデルがいた。実際の本人は結婚して子どもも作っている。有島武郎が、なぜ、このように描いたのかそれは不思議であって、この奔放な女性は、ある意味、彼の理想形だったのかもしれない。

 

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