お題「#おうち時間」で映画
私、いっちゃあなんだが、運動に神経をプラスすると、これがプラスするどころか、マイナス方面へと見事に急坂を転げ落ちる。それはもう見事な運動音痴なのだよ。
で、ダメラボさんの下記ブログを読んで、思い出してしまった。
あの中学時代にフタをして釘で打ち付け、樽にいれて念入りに海に沈めた記憶をだ。
それは、テニス部のことだ。
ダメラボさん!
なぜ、あの胸をかきむしるような思い出を、わざわざ海から引き上げてくれた。
テニス部という花形クラブ
私は身長が高いほうだ。
中学生当時で160センチはあった。それで体重48キロという、今では奇跡のような体型であった。
ちなみに今は3、4センチほど身長が伸び、なだらかな斜線グラフで身長が伸びた。一方、体重は、その比較でいうと直線でまっすぐ天に伸び、自由奔放で手に負えなくて
現在に至る。
自分でいうのもナンだか、どれほどスィーツを食べきったら、そこまで増えることができるのか疑問だ。
なお悪いことに上げるのは簡単だが、下げるのは非常に厳しい。ドキュメンタリー番組で見た無人島一人暮らしの過酷なサバイバル生活、あれしか改善方法はないと、今では確信に近いものがある。
さて、話をテニスに戻したい。
私の問題は見た目からは運動神経が良さげに見えるってところだ。
いかにも足が早そうに見えることだ。
中学生の、その当時、私は転校生だった。
みな、何も私の情報をインプットしてなかった。
そして、運動部から、その中でも花形テニス部の人数合わせで、強引に入れと勧誘を受けたんだ。
「いや、お笑い担当か?」
そう聞いたのだが違うという。
「その身長、ダブルスの前衛にいい」
「ムリムリムリ」
「いいか、アメ殿! 本ばかり読んでる隠キャ(当時はこういう言葉はなかったけど。ま、そんなニュアンス)じゃ、一生、彼氏はできん」
そう、中学生。この当時、かわいいお嫁さんになるという夢を持つ女子は多かった。
「最高の彼氏を得て、ウエディングドレスを着たくないか」
「着たい!」
なぜ、テニス部なのかってところが抜けているけど、勧誘に来た同級生の野武士はそう言った。
「テニス部に入れ、さすれば未来は麗しのヴァージンロードを歩くことができる」
この言葉に逆らえる中学2年生女子がいるだろうか。
いや、いるとは思う、今なら。
しかし、当時は違ったのだ。
女の子の夢はウェディングドレスを着ること。
その先に結婚生活あるという厳しい現実を、すべからず見ていない。エンドレスに泣く赤ん坊とか、洗っても洗っても翌日には汚れた食器があるとか、そういうものは全て見ていない。
白亜の家に、素敵な庭、イケメンで優しい夫。
家事を華麗にこなす美しい私。
不思議なのだが、なぜ中学生は疲れ果てた自分の父母やら、友人の両親とか、結婚した3組に1組が離婚しているとか。
目の前につきつけられた現実があるにもかかわらず、おおよそ結婚のなんたるかを理解できていないのだろうか。
おそらく、女の子が夢見る結婚はオブラーゼに包まれた別物なのだろう。
世界で唯一自分にだけ訪れる奇跡。そのようなものが存在すると思っているのかもしれない。まあ、見たいときにみる夢を否定してはいけない。現実は、ほぼそうした幻想でなりたっているものだ。
で、テニス部だ。
「ボールをラケットで打つだけの簡単なスポーツで、それだけでモテる」
部長は新宿の客引きかってくらい、おおよそあり得ないほどの美辞麗句で、キラっと白い歯をみせて、私を誘った。
昔から、乗せられるとどこまでも乗る私。
自分を忘れた。
その瞬間だけは、白いスコートをはき、テニスコートを走る自分の華麗な姿を想像した。
できる!
ラケットを握ったとき、私は思ったのだ。確信に近いものを感じた。私は「テニスの王子さま」ならぬ「テニスの王女さま」
さあ、どっからでも、かかっておいで!
「待て! ボールは打つもので、顔で受けるものではない!」
こんな言葉をコートで聞くなどとは、思ってもみなかった。
初っ端の段階で、私の「できる」は大文字の、
「できる!」から
普通のフォント。
「できる」に代わり
数日で、「できる・・かも」と疑問符がついた。
最初はみな優しかった。
はじめてなら、仕方がないって。
「待った! いいかい、まず、腰を落として」
ここだよ。ダメラボ殿。『腰を落として』って言われたんだよ。
そしてな、あなたのブログ通り、私はそちらでテニスしてらっしゃる50代以上あるいはシニアのおばさんが腰を落とす代わりにヤンキー座りの手前みたいなしゃがみ方。
あきらかに運動マイナス神経のような腰の落とし方。別のいいかたすれば、「へっぴり腰」をしていたんだ。
中学生で会得したわ!
中学生で、すでにおばさん飛び越えてシニアだったわ!
できるは、結局、さらなる変換を経て、
なぜか、いつの間にか大文字フォント、
できない!
に変わっていた。
そして、私は人知れず陰キャの道に静かにもどった。
引き止める者は、誰もいなかった・・・
映画『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』
2018年7月公開 アメリカ映画。
出演:エマ・ストーン
「男性至上主義の豚VSもじゃ脚のフェミニスト」の対決ドラマです。
MeToo運動の先駆けのようなテニス対決映画。
”性差を超えた”エキシビションマッチとして行われた女子テニス界の当時の女王ビリー・ジーン・キングを題材にした実録映画です。
キング夫人は、1960年から1980年代初頭まで女子テニス界に君臨したスター選手。
1573年9月20日、キング夫人はボビー・リッグスから挑戦を受け、男女対抗試合を行ったのが、この映画の元になっています。
彼を完膚なきまでに叩きのめしたことで、さらに女子テニス界に貢献したのです。
当時はまだ女子テニスはそれほど有名ではなかったのですが、この後、大きく発展します。
キング夫人は、のちにレズビアンであることを告白。映画自体はテニス試合というより人生ドラマといった内容で、なかなかに見応えがある、とてもいい映画でした。