目 次
健康とは、どんな状態なのだろうか?
私は、ときどき考える。はたして自分は健康なんだろうか?・・・と。
コロナで自宅待機を維持している私。
朝起きると偏頭痛がしたり、体が怠かったり、重かったり。夜、ぐっすりと眠り、1度も目覚めず朝を迎えることができなくなって、もう何年過ぎただろうか。
かといって、熱があるわけじゃない。いっそ低体温だ。
若い頃は35度代が普通で、36度代の上にいくと、ちょっと熱っぽい? なんて思っていた。それが、現在は平均的に36.7度前後の、すこぶる健康的な体温になっている。
また、若いころから低血圧で、最高血圧が90代、最低は40くらいになることもあって、これって生きてる? という数値だった。
それが、年齢を重ねて、現在平均的に最高血圧は125前後、最低が70前後と、これまたすこぶるいい数字である。
ついでに言うと。
むっちゃ近視。もうね、全然遠くが見えない。
小学校までは1.5の視力があったのに、本好きが災いして、どんどん悪くなり高校生では0.05?
だが、どんなに近視でも本はメガネなしで読んでいた。
だからか、老眼とかいう近視真逆の年代になっても、なぜか近い文字が読める。ぜんぜん読める。
ん?
体温正常、血圧普通、視力、悪くない。
私、健康?
いやいやいや・・・
今はあきらかに20代より体力が落ちている。元気がない。まったくない。いっそ死にかけてる。
数値は健康だと言っているが、自分が「24時間戦えますか?」って昔のCMばりに聞かれたら。そっこう逃げてくしかない。
数値というのは、全くもって、あてにならんものなんだな。
というわけで、仕事を辞めて以来、一度も健康診断を受けたことのない私。そして、半病人のような生活を送っている。
なんか怠い・・・。
これって健康なんだろうか?
詐欺師からのタクマ先生
というわけで、コロナ禍のなかで興味が引かれた書籍が『人類と病』なんだ。
著者は詫摩佳代(たくまかよ)氏。国際政治が専門の著者がその観点から疫病について書いてらっしゃる。
過去に人類を苦しめた疫病、ペスト、コレラといかに歴史的戦ってきたかという内容であって、歴史好きとしても読んでいいかもと思ったからだが、それ以上に、著者がタクマ氏ということで、つい興味を持った。
いや、詫摩佳代氏は私の知り合いではない。
全くといっていいほど関係ない。
以下は、非常に個人的な体験からタクマ先生に興味を持ったことについてなんだが・・・
数年前、自宅の電話番号を変更してから、間違い電話がかかってくるようになった。
まあ、以前の電話番号が詐欺師どもに格好の番号として広く知られちまったからだ。
これには理由がある。
私のかわいい実母が原因だ。
冥土の置き土産というか、亡くなる前の数年間。母は私の電話番号を自宅の番号として多くの場所に書いてくれた。
「なぜ、そんなことを?」
「だって、アメちゃん。自宅の電話番号を書くと後でかかってきますでしょ」って。
あのね!
と言うわけで、格好の詐欺相手と認定された母。
詐欺まがいの電話が、しょっちゅうかかってくるようになって電話番号を変更したのだ。
で、その結果。間違い電話がくるようになった。
それも必ず、
「タクマ先生のお宅でしょうか?」って。
「いえ、違いますが」
この間違い電話。忘れたころに、タクマ先生?ってかかってくる。
タクマ先生も引越しされたか、あるいは、我が家同様に単に変更されたか。電話番号を変えたことを知人に知らせていないのか。
その中で印象的だったのは自動車販売店からの連絡であった。
「タクマ先生のお宅でしょうか?」
「いえ、違います」
「あの、お間違いない」
「違います」
相手もしつこかった。
「困りました」
「間違い電話です」
「しかし」と、相手も食い下がってくる。話し方も丁寧だった。
「実は、修理に出していただいたお車が治りましたので」
「へ? 車」
「はい。ベンツですが」
べ、ベンツ!
タクマ先生。ベンツを修理に出して忘れてるから。
いや、もし、私がベンツを所有していて、それを修理に出したら、絶対忘れない。唯一、忘れるとすれば、修理代が高すぎて逃げたくなるときだ。
「困りました」と、修理店の主。
「ほんとにタクマさんじゃない、お間違いないですか?」
「違いますが。でも、なんなら、修理代だけでベンツをいただいて、その後、売り飛ばしてよろしければ引き取りに行きますが」
「いや、それは」と、彼は笑って電話を切った。
もう一人、印象に残っているのは、品のいい女性の声で間違い電話がかかってきたとき・・・
「タクマ先生のお宅でしょうか?」
「いえ違います」
相手は、年齢のいった上品な奥様って声だった。で、私もつい聞いてしまった。なにせベンツ事件のあとだ。
俄然、タクマ先生に興味を持っていた。
「あの、いつもタクマ先生の間違い電話があるのですが、失礼ですけど、変な方でしょうか?」
「いえいえ、とても立派な大学の先生ですよ」と、ご婦人は答えた。よく聞くとかなり老齢な紳士のようだった。
だから、ついでに上品な夫人に、ぜひベンツを引き取りに行かれるよう、タクマ先生への伝言を頼んでおいた。
さて、『人類と病』の詫摩佳代氏も大学教授だが、もしかすると彼女の父親が我が家の間違い電話の主、タクマ先生じゃないかって、ちょっと疑っている。
ともかく、ベンツを修理にだして数ヶ月も連絡を忘れ、上品な老齢の夫人の知り合いの紳士なタクマ先生に私は非常に興味がある。
いや、きっと、詫摩佳代教授は関係ないだろうけど・・・
『人類と病〜国際政治から見る感染症と健康格差』
詫摩佳代著(中央新書刊)
人類の疫病との戦いを歴史的モチーフから、さらに国際政治に関連して書かれたもので、著者も国際政治学者。医学的な見地から読む本ではない。
グローバル化が進んだ現在、疫病の与える影響を政治の世界から喝破した本書は、とても読みやすい。コロナで自宅待機を強いられる私たちにはうってつけの著作というか。
ページ数も少なく、1日くらいで読める量ってのもいい。(他に褒めることはなかったのかって、そんなツッコミしないで、違うから)
本書の目次から
序 章 感染症との闘い
第1章 二度の世界大戦と感染症
第2章 感染症の「根絶」
第3章 新たな脅威と国際協力の変容
第4章 生活習慣病対策の難しさ
第5章 「健康への権利」をめぐる戦い
第1章から3章まで、疫病と国際政治的な判断の内容で、なかなかに面白かった。
第4章からは生活習慣病についてで、私が冒頭にあげたような『健康』について書かれていた。
てか、あまり書評になってなくて、すまん!