《オババ》私の姑、人類最強のディズニーオタク。妹の夫とは同級生
《叔母・勝江(仮名)》オババの妹、ヒステリー性障害を患う。娘を溺愛し結婚に反対
《叔母の夫・あの男》叔母と10年来の別居中、米国に本拠地を置く会社CEO。会社を清算して日本で病気療養中
ちょっと語らせて!
9月6日からの2週間限定、IMAXでSF映画の最高傑作『ブレードランナー ファイナル・カット』が日本初公開です。
1982年公開作品で、
もう37年前で古さを感じないって、どんだけ完成されてんの。
当時は、スターウォーズやE.T.など、SF映画のレジェンド作品が多数上映された時期で、その影に隠れちまったけど、
退廃的で暗く、ある意味、泉鏡花の耽美主義にも通じるような、この映画。
その後、DVDなどで火がつき、今ではSF映画の金字塔なんて言われております。
親が子どもに安心してみせられる映画とは一線を画した作品です。
ごめん、ブレードランナーを語らせると終わらないアメリッシュ。
ダークサイドに堕ちた、陰鬱な、しかも、芸術の域まで高められた映像。滅多に2度見しないですが、2度見、3度見しちゃったんであります。
原作はフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』という短編、しかし、原作とは全く違うぞ。あえて、言わせていただくとね。
フィリップ・K・ディックというSF作家は難解ですが、映画化された作品が多い不思議な作家です。
トータル・リコールしかり、マイノリティ・リポートしかり、数々の作品が映像化されています。
さて、『ブレードランナー』に出演したルトガー・ハウアーは、レプリカントのリーダーとして、ハリソン・フォードを最後まで苦しめ、殺そうとする役柄です。
いや、殺せた。強かった。もう、圧倒的に強かった。
主役より目立ってた。
ときどき、お顔がシャイニングしてた。
そして、4年の寿命しか与えられていないレプリカントとしての命がつきるとき、この映画の最高場面。
どしゃぶりの雨のなかで少しづつ生気を失っていく、エンディングがはじまります・・・
彼は静かに語りかけます。
『お前たち人間には信じられない光景を俺は見てきた
オリオン座の肩の近くで炎を上げる戦闘艦
暗黒に沈むタンホイザーゲートのそばで瞬くCビーム
そんな記憶もみな、時とともに消えてしまう
雨の中の涙のように
俺も死ぬときがきた』
心を鷲づかみにされました。
どしゃぶりの酸性雨のなか、死ぬ時がきたと言って、静かに受け入れ、微笑み、そして、意識を失っていく。
これほど美しく悲しい死があるでしょうか。
そして、ルトガー・ハウアーさまの逝去をニュースで見ました。
私、鳥肌が立ちました。
『ブレードランナー』は2019年想定の映画です。
彼がレプリカントを演じ、映画内で最後を迎えた同じ2019年に、期しくも亡くなられるなんて、まだ75歳でした。
運命的な美学さえ感じてしまいます。
オババとの珍道中に戻ります。
オババが庭にあらわれた日、
気温はどんどん上がって30度近くになってました。
気象庁が梅雨入りを発表しても、まだ雨は多くはなく、湿気が多い嫌な天気の6月後半。
叔母の家に行きました。
こちらはそんな美しい場面じゃなくって。
のっけから叔母、眉間にシワがよっていて、間違いなく今日の天気のように曇りがちで不快指数100。でもって、美しくない。
雨にずぶ濡れのレプリカントは憂鬱でしたが、そこには美があった。
レプリカントとの間には高く超えられない壁があった!
家のなかはカビ臭くて、一瞬、うっときました。
蒸し暑いのにエアコンもつけていません。いくら古い木造建築でも隙間風が多いとしても、これはムッとする不快さです。
オババ、速攻でエアコンをつけました。
「優ちゃんは、どうしてる」って叔母。
「連絡、こないの?」
「こないわよ」
「一度、行ってみたら」
「それ、嫌味なの。どうせ、私のことなんて・・・、太郎に騙されて、泣いたって・・・」
「まだ、そんなことを」
アカン、叔母の延々とした愚痴、はじまちゃった。
オババ、また、イアフォンつけるつもりかって思ったけど、つけない。
「勝江、今はそれどころではない、離婚届は」
「それどろこじゃないって、一番大事なことよ! それになんで私が離婚しなきゃいけないの。金髪女にぜったい渡さない。そう言ってるでしょ」
「では、貯金はいくらある」
叔母は怪訝な顔つきをして、なぜそんなことを聞くんだって、そんな表情で・・・、右手でやたら口元を拭っているのも緊張からでしょうか。
「ここの土地を譲り受ける書類にサインをした?」
「もちろん、したわよ」
「それで、離婚届は」
「しないって言ってるでしょ」
勝ち誇ったような顔で叔母が宣言しました。口元に笑いさえ浮かべています。なにも理解していない。
本人は家だけを手に入れ、離婚はしないと固く断じてます。
オババは深く深くため息をつきました。
「貯金、現金で5000万円用意できるってことね」
「なに脅かしてるの、それ、なんの話よ」
「よく聞きなさいよ。離婚をすれば贈与税は必要ないです。ただ、それでも、路線価から言って高額すぎるから、なしというわけにはいかない。が、軽減税率が適用される。しかし、ただ贈与となれば、55パーセントの税金が必要なのよ」
「ヒッ」って、叔母。
悲鳴とも驚きとも疑問とも、いろんな感情がまじった、ヒッを発しました。
「な、なによ、それ、そんなもん、夫が払えばいいわ」
「いい! あの男は破産したの。そんな金はありません」
「だ、だって。だって、アメリカの家があるじゃない。それ売って」
「全く足りません。そして、その義務はあの男にありません。法律的には、勝江が払う。それが法律ですから、離婚届を出せって言ったじゃない」
「じゃあ、憲法改正よ! 安倍首相が言ってるわよ。ワイドショーでみたわ。憲法改正しようって、法律を変えればいいのよ」
「あんたの都合で改正されるわけじゃない」
「私、話してくるわよ。止めないでくれる」
「どうぞ」
叔母、奇妙な叫び声をあげました。
き〜〜とか、なんとか、動物的な声です。
「だまらっしゃい!」
オババが一括すると、シュンとして、今度は泣き落としです。
「みんな、私なんか、ヒック、ヒクヒク、死んだらいいって、そう思ってんでしょ ・・・、ヒック。貯金なんて、ないの、知ってるでしょ」
ああ、税金のドミノ倒し、この瞬間、私は絶望しました。
叔母、贈与税を理解しない、そして、その金もない。
「離婚しなさい。それしか、あんたを救う道がないから、あの男は離婚届を送ったのよ」
「あいつが、そう言ったのね。姉さん、昔からアレは姉さんしか見てない! そうなんでしょ。私のことなんて、少しも愛しちゃいない」
「その通り!」
わお! 今、それ言う? 断言しちゃう?
叔母、テーブルをバンバン叩いてます。
オババ、それ以上に大きな音でテーブルを叩きたそうなので、私、近くにあった分厚い雑誌を手渡しました。
ばたーーーんんん・・・!
すんごい音がしました。
to be continued
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ブックマークにつきまして
ちょっと不思議なことが起きております。
前回の記事ですが、私のサイトでブックマークが二つのサイトで分かれるんですが、これって不具合なんでしょうか?
記事内容は同じものですが、アメリッシュガーデンのトップサイトからアクセスしていただいた方と、記事本体からアクセスしていただいた方と、ブクマの部分だけちがっています。
8名ほどの方がブックマークしたサイト。
(アメリッシュガーデン改のトップサイト)
id:katsuki0704 さん、
ブックマークを本当にありがとうございます。
お3人のブクマは本来の記事サイトではなく、おそらく、これはトップページのサイトにブクマしていただいています。
現時点で51個ほどのブックマークがついたサイト
(おそらく、本来の記事サイト)
多くのみなさまのブクマがついているものです。
(本当に感謝しております、それでやっと続けているのが現状です)
しかし、記事内容は同じなんです。
とても不思議です。
放っておいて良い現象なんでしょうか?