【結婚と毒親 13】映画『アラジン』のようには魔法を使えない。ジーニーって、結局、魔人?
《オババ》私の姑、人類最強のディズニーオタク。
《叔母》おとなしいが実はヒステリー性障害を患う。娘を溺愛し結婚に反対するオババの妹。
《優ちゃん》叔母のひとり娘。39歳。婚活アプリで知り合った太郎と熱愛中。
《太郎》35歳。高校時代に親を亡くし、一人で農家を切り盛する中卒の勤労青年。
🔴 🔴 🔴
若い頃、そう、まだ若かったからこそ、自分は将来こうありたいって、今ではどうありたかったさえも思い出せないけど、確かに、そんな自分、あった。ちょっと甘酸っぱいような気もちで、あったと思う。
少なくとも未来で、青色魔人になるつもりなど、金輪際なかった!
頭から足もとまで、全身で主張する!
神に誓って、なかったから!
前回のブログ『アラジン』で書いたように。
私がジーニーで、オババがランプと、とんでもないコンビネーションができあがっちまって
それでもって叔母が反対する結婚を、さらに反対する作戦に出るわけだけど。
その方法、どうしたらいいの?
そんな方法あったら、教えてほしいわけ。で、オババはとにかく
「行け。わたしのシカバネを超えて行け」って号令だけで、ちっともシカバネになってないし、むしろ凄く元気そうだし。
まさかの「🎶ご主人さま、ご用はなあに?」って、歌って登場するんじゃないよね、アラジン太郎に、ジーニー私が。
おまけに、私、音痴です。その音痴も程度が超えてっから。
少し・・・、外れてカラオケの話に振ります。
カラオケって、
誰かが歌っているとき、みんな手叩いてノってるフリしながら、必死で自分の曲探してるじゃない。
次は私が決める番!
私のほうが絶対に上手い!
みたいな確信犯的な勢いでもって。
そいでもって歌が終わると、オオって拍手するわけ。次は私だからって。
誰も人の歌なんか真剣に聞いていないから。
それが、以前から不思議だったんだよね。
なぜか、私がマイクを取ると、全員の視線が集まって、歌い始めると、みんな下をむくのさ。そして、肩が震えていて、コソコソ声が聞こえてくる。
聞こえてっからな! あきさんに、マリちゃんに・・・。その他大勢!
「アメリッシュ、今、歌うたってる?」
「たぶん」
「なんの曲?」
「たぶん、浪曲(ろうきょく)」
ちがう!
画面を見ろ! 安室奈美恵だろ!
なんか、悲哀を感じながら
「3つの願いごとを聞いてらっしゃい」って、
オババランプから飛びだした先へと戻ります。
しかし、魔人、飛び出したはいいけど
シュルシュル〜〜って音が聞こえるほど小さくなっていく魔人、それが私であって。
もはや、巨人とも言えない。たぶん、コビトレベル。
イトコ優ちゃんと太郎くんの結婚ミッション。その意思だけは強固にある!
ていうか、硬くならざる負えんというか。
叔母家族の老後までアメリッシュ家、負担できないから、もう死活問題になってくっから。太郎くんに、是非とも叔母家族を引き受けてもらわねば。
で、到着したんですね。
のどかな田園地帯に。
別世界に。
そこはね。風がね、こう、吹いてくるんですよ。
風がここぞとばかりに都会とは違うぞってな主張して、なんちゅうか、嵐かってくらい、風が強くて。
で、太郎くんの畑、小高い丘にあったのね。
匂いに、少し潮風が混じっている気がするから、たぶん海、海の向こう側から吹く風が強いわけ。グーグル先生の天気予報では、確かに強風注意だって書いてありました。
なんでよ〜〜〜!
今日行くってオババが連絡しちまった後で、それに時間的に猶予がないって、オババが言うから。なぜって聞くと妹のことは知っていると。そんな答えが返ってきて、叔母さん、どんだけ強いんだ。
オババが戦闘態勢になるくらいって、それ無敵だよ。
さすが姉妹!
でもって、私、ジーニーだからって、青い服を着たんで、あいにく青いワンピースしかなく、その上、いつ買ったかも覚えてないほど昔で、スカート部分がひらひらなわけ。
今日、強風って、知ってた!
けど、甘く見てた!
小高い丘の上って、真っ向から風が吹き付けてくるって、知らなかった!
もう、風に吹かれて、ボブ・デュラン。
のどかな田園風景って、きっと幻想だ・・・
こんな場所で、マリリンモンローの「7年目の浮気」みたく、スカートが舞い上がってるんであります。
(この有名なシーン、撮影時、多くのギャラリーがおり、スカート巻いがるたびに歓声をあげたそうで、それを見た夫のジョー・ディマジオが離婚を決意したっていう、いわくつきの超有名な場面です)
そこで、
マリリン・アメリッシュ
誰もみてねーー!
ほら、スカート舞い上がってぞ!
歓声がないって思っていたら、
上空から、ピーーって、トンビの鋭い鳴き声で警告してきて、
それ、なんの警告さ?
そいでもって、虎視眈々って感じで上空から狙ってくるしで。
で、私、スカート舞い上がらせながら、キョロキョロしていたわけです。
周辺の道路は車一台が通るのがやっとの狭い道
ほとんどの畑は同じようなビニールハウスで覆われてて
私はどこ、どこにいるの?
ここはどこよ!
おまけに、スマホで太郎くんに連絡しても圏外って。
ああ、私にジーニー必要。
本物のジーニー、今すぐ、ここに来て。
オロオロしていると、急に声かけられたわけ。
「あんた、こんなとこで、何しとんの?」
ジーニーみたいなお婆さんが、麦わら帽子被って、首に手ぬぐい巻いて、完全防備の作業スタイルで声をかけてきました。
婆ちゃん、天使だ。
「あの、◯◯太郎くんの畑って、どこでしょうか」
「◯◯のたっちゃんかね」
お婆さんの顔がいきなりほころびました。
「はい、そうです」
「あんた、たっちゃんが言ってた年上の嫁さんになる子かい? 随分と年に見えっが。そいでウエディングドレス着なすっかね」
衝撃の問いかけに、不意打ちのカウンターパンチに、言葉がでない。
アワアワしてると、背後から声が聞こえました。
「いや、後藤のばっちゃん、ちがえよ。彼女の義理のイトコさんだよ」
「ほっか、良かったなぁ」
・・・、全然よく、ないですから。