【結婚と毒親 12】ディズニー映画『アラジン』は姫の親の介護をするつもり、あんのかい?
《オババ》私の姑、人類最強のディズニーオタク。
《叔母》おとなしいが実はヒステリー性障害を患う。娘を溺愛し結婚に反対するオババの妹。
《優ちゃん》叔母のひとり娘。39歳。婚活アプリで知り合った太郎と熱愛中。
《太郎》35歳。高校時代に親を亡くし、一人で農家を切り盛する中卒の勤労青年。
🔴 🔴 🔴
このシチュエーション知ってる。どっかの記憶にあるような・・・
こういうの、既視感っていうの?
英語でかっこよく言うとデジャブ?
それから、はっとしてイトコの優ちゃんと太郎くんの関係に似てるって、
気づいたんです。
電話の受話器を取ってからですが。
受話器を取った瞬間、
もう大音量で、音楽がながれてきて
それが、アラジン!
前夜は疲労が最高潮に達して爆睡した、その翌日なんで、
なぜ、アラジンで耳の鼓膜が破れそうにならにゃあアカン!
♬ 連れて行くよ 君の知らない
きらめき輝く 素敵な世界
てか、ミュージカルって、どうしてこう陽気に世界を歌えるだろう。
しばらく、音楽を聴きながら、ま、相手は想像できましたね。
アラジンだし、ディズニー映画だし、実写版映画が6月7日に公開されたし。
ウィル・スミスがランプの魔人ジーニーを演じるアレで、ジーニーがウィル・スミスにしか見えないらしい。
PHOTO: © 2019 DISNEY ENTERPRISES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
た、確かに、
ウィル・スミスだ!
メン・イン・ブラックで、刑事になって宇宙人をバシバシやっつけてた男で
インディペンデンスデイで、大佐になって宇宙人をバシバシやっつけてた男で
アイ,ロボットではロボット相手に、バシバシやっつけてた男だ。
いっつも人間側で戦ってきたウィルさま、なぜ、反対側に?
自ら、魔人になるなんて、君の正義はどこに?
で、受話器を耳から外し、キッチンカウンターに置いて洗い物をしていると、
「おはよう」
やはりオババだ。
昨夜は、叔母も大丈夫ということで、優ちゃんだけを残して帰りました。
「おはよう。聞いた? アラジン」
「聞きました」
「あの二人みたいでしょう」
オババと同じこと考えた。それ、いやだから。アラジンでオババと一緒にデジャブなんて。相当、ディズニーきてる、自分。
「それで、ちょっと相談があるんですよ」
キタキタキターーー!
オババの相談って、たいてい決定事項です。
goo辞書では「相談」の意味は物事を決めるために他の人の意見を聞いたり、話し合ったりすることってあるから。
おそらく、広辞苑だって似たようなこと書いてある。三省堂書店だって、たぶん、google辞書だって。世界すべての辞書が同じでも、オババ辞書では意味が違うこと、それだけは私、確信してるから。
「どういうご相談でしょうか」
「あなた、ジーニーになってちょうだい」
「ジ、ジーニー? あの青色のでかい魔人ですかぁ?」
「そうですよ。体重も順調に増してるようだし、似合ってるわ。でね、昨日で太郎くんの気持ちはわかったでしょ。ですからね、ここはなんとしても、優ちゃんと結びつけなくちゃなりません」
体重も順調って、ジーニーよりさらに引っかかってるんですけど。
「でも、叔母さんは大反対ですが」
しばし、沈黙が続いた。まるで、少し考える猶予を与えようという具合で、で、いつもの通り、私、なあんにも考えてなかった。
「アメリッシュ。あなた、そんな愚かでしたっけ」
「・・・」
「よーーく、考えて御覧なさい。優ちゃんがこのチャンスを逃して、他に嫁げることなんてあります?」
「それは、そうですが、でも、叔母さんが」
「本当に何も考えてないわね。いい、もしもこの先、あの二人がそのままで、夫には捨てられたも同然の妹を、将来、誰が面倒を見ると思うの?」
な、なんちゅう不覚!
アメリッシュ、あんたはアホか!
そ、そこまで、考えてなかった。考えつかなかった。
私は本物の愚か者であった。昨日もブログを消去しちまったし。
未熟者すぎた。さすが、オババ、伊達に年齢を重ねていない。
私、自分の頭をガツンと一発張り倒しました。
そうだ!
夫には妹がいるが、いま、海外に住んでいる。帰る予定もない。
優ちゃんは叔母の一人娘で、結婚しなければ、その結果。
つまり、将来、頼るのはウチしかいない。
オジジ、オババにさらにふたりって、
ないないない。
介護は経験済みです。それはもう綺麗事ではなくて、父が脳梗塞でシニアの序盤で倒れ、その後、認知症を患いました。
私、病院に行くことがストレスになっております。いわゆるPTSDかもしれない。私の病院嫌いは父の介護が理由です。
「なります! ジーニーだろうがなんだろうが、もう、なんでもやらせていただきます」
「理解したかね」
「はっ、隅から隅まで、この危機に対処せず、どこで危機管理ができましょうや」
「ふむ」
「でも、妹さんの嫌がることをしてもよろしいのですか」
「あれは、なかなか大変で、子どもの頃から厄介な女でありましたよ。太郎さんならば、優ちゃんともども」
「な、なるほど」
オババと利害が一致してしまったぁーー!
こりゃ、優ちゃん、ぜったいアラジンと駆け落ちでもなんでもしてもらわないと。
最後のチャンスだ。崖っぷちなのは優ちゃんだけじゃなかった。アメリッシュ家はさらに崖っぷちだった。
ヒステリー状態が起きた叔母。
気に入らないと卒倒って、
ムリムリムリ!
絶対、ムリだ!!
「では、三つの願いを太郎くんから聞いておいで」
「お母さんは何をするんですか」
「私の役はランプじゃ」
そ、それってー。なんもしないってことじゃないか。
オババがランプをこすったら、私が出て行くってことじゃないか。
私に丸なげしたあああーー!