アメリッシュガーデン改

姑オババと私の物語をブログでつづり、ちいさなガーデンに・・・、な〜〜んて頑張ってます

【毒親vs結婚/最終話/前編】ついに結婚式。長いドラマに終止符をうつこの良き日。と、ドラマとしても秀逸な映画『ラブ・アクチュアリー』

映画『ラブ・アクチュアリー

 

この映画、冒頭にある文章が、

 

「この世には愛が満ちあふれている・・」

 

物語はここからはじまります。

 

あ! この瞬間、読むのをやめようって、パソコンかスマホのどちらかをタップして後ろ向こうとしている、皮肉好きなあなた!

 

予想とちがって、ものすごくいい映画なんです。

傑作です。幸せな気分になれる貴重な作品です。

ともかく世の中を斜めに観るのを少しだけやめて、この映画にひたってください。

 

世界は、そんな捨てたもんじゃないって思います。

 

映画『ラブ・アクチュアリー』は、イギリスでクリスマスシーズンになると必ず上映されるというほど人気があり、王道のラブコメ映画です。

 

気持ちが明るくなって、忘れていた心の何かに、ほっこりとした火がつきます。

人と人との繋がりに感動してしまいます。

 

ラストシーンで、なにげない一般人の映像が出てきますが、それを見ながら、涙腺がゆるんできます。その理由はわかりません。そういう映画です。 

 

みんな、頑張ってる。

そう、人間はみな頑張ってる!!!

 

 

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映画『ラブ・アクチュアリー』ヒューグラントが英国首相を演じています

 

森の結婚式

 

さて、優ちゃんと太郎くん結婚式当日です。

 

標高1000メートルほどの森のなかにある八ヶ岳レストランに行きました。

ものすごくスムーズに到着しました(キリッ)

 

対向車とすれ違うのに時間がかかるわけでもなく、高速道路に入るのに止まってしまうこともなく、ナビがあるにも関わらず迷子になることもなく。

奇跡のような素晴らしいドライブ。

 

ふふふ、私の運転技術、飛躍的に伸びてるって。

そう、つまり、私が運転したわけじゃないんです。

 

おほほほ・・・、自分じゃないと、なぜ車って、こんなにスムーズなんでしょうか。不思議です。

 

標高1000メートルの八ヶ岳

 

気温は30度。暑くはありましたが湿気がなく、木陰にはいると木の匂いがして心地よい日です。

 

こういう日をお日柄もよくというのでしょうか。

 

優ちゃんと太郎くんは、前日に近くのホテルに泊まったようです。

 

太郎くん、いかにも着慣れてない白いスーツに逆に着こなされ、

レストランでそわそわしています。

 

私たちが最後で、オババたちご一行は貸切バスで到着していました。

 

結婚式特有の、なんていうか華やかな中に緊張があるというか。

静かに、その瞬間を皆で厳粛に待つ雰囲気・・・

 

んな、はずない!

 

あろうはずがないわ!

 

オババ御一行、相当にうるさいです。

 

「タキさんとこのお孫さん、小学校で学校に呼びだされたそうだわよ」

「タキさんほんとなの」

「そうなの、そうなのよ。嫁ったら、私にそれ隠して」

 

とかなんとか、いろんな噂話や病院の話が空を乱れ飛んでます。

 

私はそんな喧騒を抜けて、レストランのスタッフに挨拶してから聞きました。

 

「花嫁はどちらですか?」

「控え室で着替えてます。お義母さまも、叔母さまもそちらですよ」

「控え室は・・・」

「ご案内します」

 

スタッフに連れていかれたのは、レストランの横の個室。

おそらく普段はプライベートルームなのだろう。

 

ドアをノックして部屋に入ると、オババと叔母が騒いでます。

 

「あら、髪はアップがいい」

「いえ垂らしたほうが」

 

もう一人、中年の見知らぬ女性は美容師なのだろう。

優ちゃんの髪を持って、二人の論争に辟易(へきえき)しています。

 

白いウエディングドレスの優ちゃんの背中が見えました。

 

「あら、アメリッシュ姉さん」って。

優ちゃんが振り返ったのです。

 

思わず、うっと息をのんでしまった。

優ちゃんは普段、あまりお化粧をしませんが、今日はプロのメイクです。

 

綺麗です!!

 

なんて美しいのだろうか!

 

病院に入院したときは日に焼けたと思いましたが、もともとは色白です。入院で太陽に当たらなかったことと、妊娠の新陳代謝によって、もう日焼けは消え、輝くばかりに白い肌に瞳がきらきらして・・・

 

天使ですか。

 

「髪なんですが」と美容師が言いました。

「どういたしましょう」

 

「下ろして、そして、頭に花のティアラを」

 

思わず、私、そう言ってました。

 

「そうだろう。ほら、勝江、アメもああいうとる」と、オババ。

「花嫁はアップ髪が普通です」と、叔母

「どうしましょう。お時間もありませんし」と、美容師。

 

「あのね」と、優ちゃんがにっこり。

「ああやって、二人でずっと言い合っているの。だから、もう10分もこのまま」

 

「お義母さん! 叔母さん! 優ちゃん、安定期といっても妊娠中ですよ」

「あ、そうね、そうよね。大事な体でした」

 

「髪は下ろしてください、森の精みたいにキレいだもの」

 

美容師、その言葉にクルクルドライヤーで髪にカールを付けていきます。

準備ができて立ち上がると、優ちゃん、少しふらついて私たちをはっとさせましたが、すぐ立ち直って、にっこりと微笑んでます。

 

美容師の方、自分の作品に満足したように、私たちの顔を見比べ、どうだと言わんばかりです。

 

確かに、あんたは偉い!

 

「この方、レストランのオーナーから紹介してもらったの」と優ちゃん。

 

「そろそろ、お式を」と、ドアがノックされました。

「誰が優ちゃんの先導を」

「うちのオジジがします」とオババ。

「叔父さん、やはり来れなかったですか」

「あちらで忙しそうです。病気もまだ完全に治ったわけではありませんしね」

「あんな男!」と叔母が言った瞬間、優ちゃんが。

「パパには事情があるの。ママ、今日は悪口を聞きたくないから」

「ああ、そうね、そうよね」

 

叔母さん、なぜか下手です。

最近の優ちゃんの成長に、叔母さんも勝手が違い戸惑っているんでしょうか。

 

私たちは優ちゃんを残して、控え室を後にしました。

レストランの庭には、花のアーチがあり、そこに列席者用の椅子が準備されています。

 

アーチまで赤い絨毯がひかれいます。その先に一人で太郎くんが立っていました。緊張しているのか、すこし頬が赤いです。

 

「太郎くんがね、パソコンでレストランオーナーと話し合って、この式場を作ったそうよ」

「そうなんですか」

「いい雰囲気ですね」

「ああ、ちとうるさいが」と、オババ。

 

てか、むちゃくちゃウルサイんでありますが。

 

20席ほどの椅子が準備されていて、そこでオババの愉快な老人会の仲間たちが大騒ぎしています。

 

3名ほどの若い知らない男たちがいて、

おそらく、太郎くんの知り合いなんでしょう。

 

アメリッシュ関係では、うちの家族とオババと叔母と、オババには娘がいますが、米国に住んでおり帰国できないと連絡があったそうです。

 

ま、オババ、そっくりのなかなかのツワモノですから、来なくて、少しほっとした自分がいます。

 

神父さんはいません。

 

二人で誓いの言葉を言うだけのシンプルな式にして、それから、レストランでどんちゃん騒ぎ、否、会食という流れです。

 

電子オルガンが置いてあり、オババの仲間でピアノの先生をしていたお婆ちゃんがスタンバイしています。

 

ピアノの先生、ダーーンと最初の音を出しました。

 

静かに結婚行進曲が鳴り出すと同時に、うるさかった老人会メンバーたち、急にしんとしました。

 

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森の結婚式

♫タタタ〜〜〜ン、タタタ〜〜〜ン、タタッタン、タ〜

 

レストランのドアが開き、オジジが最初に現れます。

次に、白いベールが見えたと同時に優ちゃんです。

 

全員が息をのむ音が聞こえ、私、太郎くんを振り返りました。

 

太郎くん、口を開けて呆然と優ちゃんを見ています。

うっすらと目に涙を浮かべている。

 

それほど、今日の優ちゃんは輝いてました。

 

オジジとなにか話してから、優ちゃんと二人、しっかりとした足取りでこっちに向かってきます。

 

優ちゃん、転ばないでって、そう祈りながら足もとを見たら、白い運動靴のようなフラットシューズです。

 

でかした、誰か!

 

オジジ、緊張しているのか、手が横腹についたまま全く動きません。イギリスの儀仗兵のような動きです。

 

優ちゃんを迎える太郎くんのもとに、ぜったい無傷で渡すという、そうした決意がみなぎってます。

オジジ、改めて、いい人だと思いました。

 

優ちゃんと、太郎くん。

 

二人が正面のアーチの前で見つめ合うと、太郎くん。

 

し〜〜んとした中で・・・

 

「ゆッ」って、彼の声が裏返って奇妙な高音になりました。それから、恥ずかしそうに咳をしました。

 

「頑張れ! 太郎」

 

オババが声をかけました。その瞬間に皆の緊張が溶け笑い声が響きます。

 

「優子さん」

 

太郎くん、もう一度、言いました。今度は普通の声です。

再び周囲が静かになりました。

 

「僕と結婚してください」

「はい」

「ずっと一緒に生きてください」

「はい」

「僕は精一杯、がんばります」

「はい」

「幸せにします。この指輪を」

 

近くにいた太郎くんの知り合いでしょうか。

微笑みながら、彼に指輪を渡しました。

 

「ずっと、僕のためにはめてください」

「はい」

 

優ちゃんと太郎くんの指輪交換が終わると、自然と拍手が湧きました。

ピアノの先生、そこでクラシックの名曲、『G線状のアリア』を弾き始めました。

 


バッハ「G線上のアリア」 Bach "Air on G String"

to be continued

 

映画『ラブ・アクチュアリー

出演:ヒューグラント、キーラ・ナイトレイローラ・リニー、ローワン・アトキンスン、ビリー・ボブ・ソーントンほか豪華出演陣

監督:リチャード・カーティス

 

クリスマスを目前に控えたロンドンが舞台です。

男女19人が織りなす9つの恋愛模様が楽しく描かれています。

首相と秘書、男と男、言葉の通じないポルトガル女性に恋したミステリー作家などなど・・・

 

ノッティングヒルの恋人』の脚本家が監督を務めただけあって、細部にまで目配りが届く珠玉の内容です。こうした作品にありがちな間の抜けた残念な部分がなく、どのストーリーも共感できる、心が熱くなる映画でした。

 

恋を忘れた人に熱い想いを思い出させてくれます。

 

英国では毎年クリスマスシーズンにテレビで上映されるほどの人気ラブコメ映画だそうで、ぜひ、ご覧ください。

何度も書きますが、いい映画です。

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