アメリッシュガーデン改

姑オババと私の物語をブログでつづり、ちいさなガーデンに・・・、な〜〜んて頑張ってます

【結婚と毒親 17】映画『ロミオとジュリエット』ディカプリオの凄絶な美。バラは別の名前でも香りは変わらない

《オババ》私の姑、人類最強のディズニーオタク。

《叔母》オババの妹、ヒステリー性障害を患う。娘を溺愛し結婚に反対。

《優ちゃん》叔母のひとり娘。39歳。婚活アプリで知り合った太郎と熱愛、過保護母に結婚の邪魔をされている。

《太郎》35歳。高校時代に親を亡くし、一人で農家を切り盛する中卒の勤労青年。

  

🌺     🌺     🌺

 

昨日のブログで、古い名作『ロミオとジュリエット』について書きました。

こうなったら、ディカプリオ版『ロミオとジュリエット』についても言及しないと、怒られそう。

 

てか、私が怒る!

 

レオナルド・ディカプリオ様といえば『タイタニック』が有名だけど。

でも、私は、やっぱりロミオ推し!

現代版ロミオのディカプリオほど、美しく気高い存在はない!

もう、畏れ多い。

 

イタリアのマフィア抗争を両家のいがみ合いにして、現代版に置き換えた作品は、ため息がでるほど、華麗な映像で悲恋物語が描かれています。描ききっております。これ以上はないってくらい耽美な映像です。

 

そして、美の最高潮であったディカプリオ、やんちゃな魅力、ロミオの繊細な心の動き、余すところなく演じ、ジュリエット役のクレア・ディンズの腕の太さを隠して余りある映画になっていました。

 

そういえば、最近のクレア・ディンズ、ドラマ『HOME LAND』で、双極性障害を患うCIA捜査官を演じています。

検索してみてください。私、『HOME LAND』の主役がジュリエットとは全く気づきませんでした。

時による人の変化に驚愕した瞬間です。

 

 

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さて、アメリッシュ家のジュリエット優ちゃん。

オババの誕生日パーティで、のほほんと静かに笑う優ちゃんに、

ちょっとばかり不安を感じてます。

手が汗ばんでいるのは、私だけ?

 

午後7時近く、辺りはすっかり暗くなってきました。

 

庭でお婆さんたちに囲まれた優ちゃん、

私たちが、これほど真剣に考えているのに、本人はまるで他人事のように食事をついばんでおり、私、少しだけ意地悪な気分になったのを覚えています。

 

優ちゃんの隣で、「太郎くんが来る」と囁きました。

 

優ちゃんは、私の言葉が聞こえてなかったのか、紙皿の里芋を箸でつまんで、それを、口もとに持って行こうとして、

そして、いきなり咳き込みました。

近くのお婆さんはハンカチを渡し、私は背中をさすり

里芋はコロコロと転がっていく。

 

「太郎さんが、本当に」

「ええ、外に出ましょう」

「ママには」

「叔母さんは知らない」

 

優ちゃんは小首を傾げて、しばらく、無表情でいました。

「7時にくる予定。会わないでいいの?」

   ・

   ・

 

彼女は首を振りました。

 

会いたい

 

聞き取れないほど小さな声で、唇の動きだけで言葉の意味が読み取れるくらい細い声で、会いたいと囁きました。

その声に、はじめて彼女の真剣さに気づいたのです。

この子は恋をしている。

すがりつくような視線が絡まり、

まるで悪いことをしようとしている子どものような目で訴えて来ます。

会いたい、会いたい、会いたい、と。

「あの人はどこに?」

その時、

「優子?」

家の方向から声がしました。

叔母です。優ちゃんを探しているのでしょう。

 

優ちゃん、ビクッとして、それから、怯えた表情を浮かべ私を見つめてきました。私は視線を逸らし、母屋を見ました。

 

部屋からの明るい光を受け、はき出し窓近くで叔母の黒いシルエットが浮かんでいます。

悪魔か!

背に黒い羽は生えてませんが、なぜか、私も身震いして

悪魔、こっちに来るって、怯えました。

私が怯えるくらいだから、

叔母が来ては、優ちゃんは出れません。いえ、出ることができないでしょう。

 

「はーい」

いきなり、隣で高音の声が聞こえた。

羽バアと名乗った70代くらいのお調子もの婆さんです。

彼女、私にむかってウインクしてきます。

なんだか、ホッとして冷静になりました。

 

「優ちゃん、なの。どこ?」

「優ちゃんなら、ここで煮物を食べておるよ。落っことした里芋をさがしておる」

最長老が答えてます。

「行こう、優ちゃん。太郎くんが来る」

「は、はい」

優ちゃんが立ち上がると同時に、その前に座っていた数名が、よっこらしょって感じに立ち上がりました。

それで老人たちの壁ができました。

進撃の巨人の壁じゃなく、お婆さんたちの壁。

味わい深い・・・。

 

で、合図だったんでしょうか?

オババのするどい声がしました。

「勝江! ケーキの時間でしょ。できた?」

「だって、優ちゃんが」

「誕生日は私が主役。優ちゃんはみんなに任せなさい」

オババーーー!

一喝かい!

 

私は少し背伸びして、人々の背中から、叔母に付きっきりのオババに頷きました。

長老が背中で手を振り、早く行けと合図しています。

 

「優ちゃん、半腰で庭の門から出るから」

「はい!」

珍しい。優ちゃんの動きが早いです。

 

街灯が明るく照らす道路にでました。

太郎くんは、まだのようです。

数分でしょうが、待つ時間は長く感じるものです。

 

「太郎さん、来るのでしょうか」

優ちゃんの声に不安が混じっています。

「必ず来ます」

そう言いながら、優ちゃんの肩をだき、自分の不安を沈めました。

 

家から、ひときわ高い声が響いてきます。

ハッピィバースディの音楽が流れて

おそらく、ケーキが出たのでしょう。

オババ家の明るい照明に笑い声、そこに幸せがつまっているようで

複雑な気分でした。

 

その時、音楽に半分消されていましたが、遠くからエンジン音が聞こえます。

遠方の電柱にトラックが浮かび上がり、こちらに向かって来ます。

「太郎さん」

私と優ちゃん、てんでに声を発していました。

 

オババの家から歓声が風にのってきました。

「おおお!」

「誕生日、おめでとう!」

人々が口々に騒ぎ、笑い声も上がっていました。

バースディケーキのロウソクを吹き消したんでしょうか。

 

一方、優ちゃんはトラックに向かって、歩きはじめました。

それは、少しづつ速度がまし、そして、駆け足になり、すぐに走り始めました。

優ちゃん、転ぶから!

私は気が気じゃありません。

 

トラックのドアが開くと、太郎くんが飛び出してきました。

電柱の明かりの下で、ふたりはそこで立ち止まりました。

 

そして、なにも起きません。

お互いに見つめ合い、ただ、そこに息を詰めて立ち尽くしています。

 

時が止まっていました。

 

to be continued

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