アメリッシュガーデン改

姑オババと親戚の物語をブログで綴ってちいさなディズニーランドを目指してる・・・、な〜〜んてな

【婚活 その8】オババvs詐欺師、直接対決! 敗者はだれ?

《オババ》私の姑、究極のディズニーオタク。結婚詐欺師から姪っ子を救うため奮闘中。

《叔母》ひとり娘をこよなく愛する優しすぎる叔母、娘の婚活に悩むオババの妹。

《優ちゃん》叔母のひとり娘。究極の箱入り娘。39歳で初恋、結婚詐欺問題が発生。

 

  🔴     🔴     🔴

 

「はじめまして」

男はオババと叔母を交互にみて、深く頭を下げました。

叔母のほうが優ちゃんの母であることを願ったでしょう。

それは、100人いて、101人が願う、至極まっとうな考え。

心配無用。オババの隣の優しげでチョロそうなほうが実の母親です。

てな目配せ、思わずしそうになって、詐欺師に肩入れしてしまったアメリッシュ。

 

だってな、私だってな、できることなら、叔母を姑にしたかった。

日々がどれほど平和であったか。ただ、もれなく優ちゃんがついてくるというリスクがありますが。

う〜ん、世界の中心で自分が愛されたい、今日この頃です。

 

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三人の魔女・フュースリー作


「遠いところまで、わざわざ来てもらって、お仕事は大丈夫でしたか?」

仁王立ちで待っていたオババ、笑顔を作り天性の社交家に豹変しました。

「すごく良いお姑さんで、あなた幸せね」と私に告げる、トンデモない輩が時に存在します。

そうしたお花畑の人びとよ。それはオババの、この豹変した態度しか知らないからだ。みな、騙される、そして、理解もできない。この豪傑のほんとの底力を。

「今日は、その予定で切り上げたっす、じゃない、ました」

「食事の場所、カフェテリアにしたけど、よろしかったでしょうか?」

「うれしいです」

朴訥としていて、どこか好感が持てる男です。

 

全員でレストランへ移動しようとしたとき、優ちゃんの手を取ったのは叔母が先でした。さすが、これまで優ちゃんを世話していきた叔母、年季の違いをみせつけました。オババ、ヨシという顔で頷いています。

 

オババを先頭に優ちゃんと叔母、太郎、そして、しんがりは私です。

「背後から敵に襲われないよう、しんがりを務めよ」とのオババの指示であります。

 

意味がわかりません。

 

レストランの席についた途端、オババ、弾丸トーク炸裂させました。

「それで、あなた、どんなお仕事をしているの」

「仕事は百姓です」

「百姓? お一人で」

「はい。20年ほど前にオヤジとオフクロを亡くしたから、その土地で農業を続けるっきゃ、なかったです。だから高校を卒業できなかったス、あっ、です」

オババの豪速球を直球ストレートで投げ返してきました。

「高校を途中でやめたの」

「僕は中卒です」

優ちゃんと同じほど素直か? そうなのか? あるいは、新手の詐欺手口?

私、混乱しています。

「ご兄弟は?」

「いません」

「ご親戚は」

「つきあい、ないです」

オババの感嘆すべき性質は、言いにくいことをズバズバと聞く、ほとんどマニアックな性質です。どこでも井戸端会議にしてしまう。たとえ豪華なレストランだろうと、井戸を掘ってきます。ツルハシ、忘れません。掘って掘って掘りまくります。

「年収は」

うおっと、聞きにくいこと真っ正面から聞いた。

太郎、怒ってもいいぞ、私は許す。

「今年は、1000万より、ちょっと少ないです。だいたい、そんなものです」

ほへ?

「そう」

1000万円と聞いて、オババ、最初のいきおいが消えていきます。

これが詐欺師なら、随分とレアケースな職業を選択しています。

まあ、オレオレ詐欺も最近では、ずっと手が込んでいるという話もあり、騙されるわけにはいきませんが。

 

「太郎さんはね」と、優ちゃんが口を挟もうとすると、叔母が「ねえ、優ちゃん、何にするの?」と、メニューを差し出して遮りました。

「えーーと、わたしは・・・、うーーーん」

はじまったぁ、はじまっちまったぁ、優ちゃんのえーーと何も選べませんコース。だから、普段、叔母は優ちゃんにメニューを与えません。全部、叔母が決めてます。

優ちゃんがメニューで迷いはじめると止まらないからです。普通に迷うだけならいいのですが、そこは優ちゃん、どこまでも迷います。地球が終わっても迷っているでしょう。一種そこに迷いがありません。

 

オババは無視して攻撃を続けています。

どれだけ太郎、耐えきれるだろうか? 

詐欺師でないとすれば、太郎、この家族も引き受ける度胸があんのか?

 

「それで、優子とのこと、どう考えらっしゃるのでしょうか。この子は、見ての通り、とても、そのね。あれでしょ」

おや、言い淀んでます。

「僕は、結婚を前提におつきあいしたいと思ってます」

ワォ!

メニューを前に素直に迷っている、この子よ。この子を嫁にって、どんだけすごいことか、わかってるのか?

て、あれ?

結婚詐欺師じゃないの?

「はっきり申し上げます。私どもは、とても不安に思っているんです」

「わかります。僕は孤児です。大学も出ていません。しかし、ずっと働いてきて貯金はあります。今、農業もネットワーク化されてきて、収入も増えました。大学を出てはいませんが、優ちゃんを養うくらいは稼いでいます」

立派です。緊張気味で、少し額に汗が浮かんでいますが、真摯にうったえる口調に嘘はないようです。

詐欺師とは普通なら疑わないでしょう。しかし、相手は優ちゃん。なぜ、優ちゃんというところで詐欺師かと疑うのです。

「それにしても、なぜ、この子でしょうか」

「おばさん、それ、どういうこと?」と素直に優ちゃんが聞きます。

アメリッシュ、背後の敵!」

オババ、それ、なんの暗号。

と、オババがハリソン・フォードに似た例の唇の左端を、これ見よがしにあげています。

へ?

わからない。全くわからない。背後の敵?

オババの視線が、ゆっくりと優ちゃんに向かいます。

ああ、な、なるほど。

私、バッグからスマホを取り出して、イアホンを装備しました。

 

「優ちゃん。ほら、山Pが新曲だしたの、聞いてみない?」と言いながら強引に耳にイアホンを突っ込みました。

優ちゃん、驚いた表情を浮かべましたが、そのまま聞いてます。

根っから素直な子なんです。

「で、この子のどこがいいの? はっきり申し上げますが家事一切できない子ですよ」

「僕は、ずっと一人でやってきたんで、心配ないです。僕がやります」

「一人にしておくと、とんでもないことします、おそらく、あなたの想像以上です」

「どうせ、田舎の一軒家です。なにをしようが問題ないっす」

「農家の嫁って、大変なんでしょ」

「それは、僕も近所の人に世話になりました。だから、都会に比べれば近所付き合いも多いです。今日も、いつもと違う格好してたら、隣のおばちゃんがどうしたのって聞いてくるようなところです」

「この子には、それは務まりません」

「務める必要はないです。それに、優ちゃんならみんなに好かれます」

おお、鉄壁の攻めに鉄壁の防御。

「それよりも、こんな僕でもいいんでしょうか?」

え? いきなりの反撃。さすがのオババも、つんのめっています。

「僕は中卒で、大学出のお嬢さんを嫁さんなんて、不釣り合いはわかっているつもりです。優子さんは僕より年上ですが、本当にかわいい人です。写真をネットでみて、一目惚れしました。僕には家族がいません。暖かい家庭が欲しいと、心底から思っています。でも普通の結婚相談所にも行っても、孤児で中卒で農家で、なかなか交際にはいかなかったです」と、こんな内容を一息ではなく、訥々と彼は話した。

「優子さんは、そういうことを全く気にせず、僕のことが好きだと言ってくれました。嬉しかったです」

やああああん

こんな大事なときに、山P鼻歌で良いのか?って。

私がイアフォン突っ込んだんだけど。

オババ、珍しく口を挟みません。

こちら側陣営、全員、言葉を失っています。

「うちの畑で採れた大根はレストランの直契約をしているので、季節に左右されずに、収入は確保しています。優子さんを大切にします。結婚を前提にお付き合いをさせてください」

太郎は椅子から立ち上がると、折れ曲がらんばかりに頭を下げた。

その瞬間。私は気づいてしまった。

気づいてしまったのだ。

頭を下げている太郎の手。それは労働者の手でした。高校の頃から畑で必死に働き、自活してきた男の手でした。どれだけ洗っても取りきれない、黒い泥が割れた爪の間に黒ずみを作っています。

山Pを聞いていた優ちゃんがにっこりして、イアホンを耳から外すと、立ち上がりました。

彼の隣に立つと、一緒に頭を下げます。

二人は頭を下げながら、お互いの顔を確認して、それから、優しげに微笑みあいました。

愛し合っています。

天然記念物指定が必要になるかもしれない絶滅危惧種たちです。

そうか、これは・・・

月9なんだ。2時間サスペンスドラマではなかった。船越英一郎はでてこない。

 

その瞬間。

 

まさに、その瞬間でした。なんとも奇妙な声がレストランに響き渡りました。

最初は何なのかわかりませんでした。

叔母の口から、奇妙な悲鳴に近い高音が発せられたのです。

よく聞くと

 

「ダメ! ダメ、ダメェーーー!!」

 

と、それは叫んでいるように聞こえました。

その声の悲痛さと、それから不気味さに、その場の全員が凍りつきました。

やはり、船越英一郎の出番か・・・。

 

to be continued

 

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【独身者データ 2018年】

20歳〜24歳 女性91.3% 男性95%

25歳〜29歳 女性61.3% 男性72.7%

30歳〜34歳 女性34.6% 男性47.0%

35歳〜39歳 女性23.8% 男性35%

 

【雑な分析】

24歳前は既婚者が希です。25歳すぎから特に女性の既婚者が増えてきます。結婚のターニングポイントは30歳。男女とも、そこで独身者と既婚者が逆転します。

39歳以降まで独身ですと、そのままに独身傾向に拍車をかけそうです。40歳からは生殖の限界という課題が、リアルな現実になるからでしょうか。結婚を望むなら、30歳が一つの転機と言えるかもしれません。

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