憧れの箱根。桜が散りかけ、忍者バスも走る。しかし、なぜ忍者? それもバス? そして悲劇が・・・《その1》
楽しみが〜〜、欲しいかぁ〜〜〜。
「え? なんか耳元で声がする」
今すぐ〜〜、生きているという実感が、
欲しくないかぁ〜〜〜!
「うわぁーー。なんで、師匠が、ここにいる」
「箱根に行きませんか?」
「箱根?」
「そうです。まだ桜が咲いています。見に行きませう」
箱根と桜と聞いて、心動かされぬわけはない。しかーし、なにかある。理由を知る前に策に乗るのは、まずい。アメリッシュ、勘だけは野生動物並みである。いや、人間並みのところが少ないというか。
「その話、のりました」
「姫、すでに車をまわしてござる」
「気のせいだろうか。口調が時代劇に聞こえる」
「鋭いでござるよ。箱根の忍者バスに乗るには、時代を遡る必要があるでござるよ」
「普通には乗れんのかい」
「乗れませぬ」
箱根で忍者バス? どういうことだ? 全く話が見えない。が、そのまま、動物的勘をねじ伏せ、家人が出張などで出払っていることを幸い、箱根に行きました。この決断が、後にあのような悲劇をひき起こそうとは、この時のアメリッシュ、まだ無邪気でありました。
「忍者バスってなんでござる?」
すでに師匠の術にはまり、時代劇に入っております。
「あれよ。アメリカの軍用車を観光用にしたもので、最初はウシィコンシン州で軍人が侍商法で初めて、なぜか成功した。あれが日本に来てござる」
「つまり軍人気分になれるのかい」
「いや。忍者」
「なぜ、忍者?」
箱根園は、プリンスホテルのリゾート施設です。水陸両用の忍者バスは2018年から始まり、箱根園を出発したあと、芦ノ湖へ入るコースと聞きました。
・・・・・。
甲賀でもなく、伊賀でもなく、なぜ箱根。いえいえ、決して、苦し紛れの設定などではなく、外国人受けを狙った好企画、なのだろう。きっと、きっとそうだとアメリッシュは拝察いたしております。
企画したのは、どのくらい前なのでしょうか?
『芦ノ湖、水陸両用バス導入計画』会議で、コンセプトなんちゃらかんちゃらと説明しながら、企画案にご苦労するスタッフ方々の姿、目に浮かびます。
「ということは・・・、忍者という案が、コンセプトより先に来ていた、あれでござるな」
「ホームページには、かんじきを履いた忍者が芦ノ湖に立つイメージと書いてあるぞよ。忍術『水蜘蛛』の設定でござる」
「強引感、ハンパないな」
「スタッフ、ご苦労じゃったな」
「あんたが、なぜ、ねぎらう」
(*注:アメリッシュ 、この企画に参加しておりません。全くの邪推でございます)
ところで、もう一つの目的、箱根の桜。樹齢100年の一本桜(記事の最初の写真)は 、散りかけていましたが、所々、まだ綺麗な桜を鑑賞することができました。
「んじゃ、まず最初に、忍者屋敷に行くでござる」
「忍者屋敷もあるんですか?」
「立派なものです」
忍者屋敷まで作ったのか。気合いが入っていると思いながら、友についていくと、そこは『龍宮殿』。
「あの、龍宮殿ってありますが、日帰り温泉と書いてあります。とても忍者屋敷には見えませんが」
「そこは、気合いよ。気合いで忍者屋敷と見るでござる。温泉、入りたくないか」
「は、入りたいであります」
「では、ちゃっちゃと行くでござる」
「はっ」
温泉、気持ちよかったです。
温泉後、いよいよ忍者バスです。
気分は、すでに忍者!
もう乗る気、満々!!
期待度200パーセントであります!!!
切符売り場に行くと、なにか危険を察知したのだろうか? 売り場の窓が閉まっています。
そこは師匠とアメリッシュ 、ありったけの笑顔で前に立ちました。
窓が開きます。
そこから、ぽっちゃり系の売り子のおばさんに、にこやかに聞きました。
「大人2枚」
「今日はもう終わりました」
え?
「忍者バスの最終は、12時50分発です」
えええええ〜〜〜!!
忍者屋敷でのんびりしている場合じゃなかったぁーーーーー!
to be continued・・・