【その3】憧れのガーデン完成はいつ? ともかく「御意!」と返事しときまっさ、と桂もみじが頷いた
「桂もみじ」は和風庭園の代表樹木と思いがちですが、そこはどっこい、イングリッシュ風、フレンチ風、どんなガーデンにも見事に溶け込みます。脇役としての「桂もみじ」の真骨頂。そんなあなたは、コワモテを演じても憎めない植物界の遠藤憲一、味のある名脇役です。
アメリッシュガーデンでは、まだ幼い桂もみじを昨年の初夏に植えました。
「去年、紅葉してくれなかっでしょ」
「そりゃ、あなた、やれと言えば、どんなことだって、やりまっせ、しかしねぇ、まだ植えたばかりじゃないですか。そりゃ、アッシにだって考えってもんがありまさぁ」
「陽の光に弱いって言うの?」
「春にみてくんなせぇ。新芽のころが美しいんでさ。けどね、暑さと太陽には弱いんで、あんな南側に地植えられちゃあ、紅葉する前に枯れますって。まあ、今年はやりますんで」
「じゃあ、今年は。紅葉、期待してるわよ」
片手を高らかにあげ、「御意!」と言い切りました。真っ赤な紅葉を、ぜひ見たいものです。青系を主体にした庭に、一点の赤。きっと美しいと、密かに期待しているのです。
ラベンダーの下に生えた雑草を取るときくらい楽しいものはないです。
グリーンノート(青臭い)にスパイシーさが混じった匂いとでも、ええいっとりゃあ! 香りを表現するのは難しい。ともかく心が穏やかになって、ふんわりとした気分になる癒し系の香りなんです。
ほんの少しの親切にも満面の笑みを浮かべ「おんや、ありがとうなまし」と声をかけてくるラベンダーは、まさに癒し系ナンバー1の綾瀬はるかです。
難点もひとつ、脇役に持ってきても、その旺盛な生命力で主役を食ってしまいます。
「シロタエギク? あたし、なんとなくシロタエちゃん、好き」
勝負に勝ったからだろうが、という声を無視しての天然発言。このほんわか感が癒し系なんですかね。
「奇跡はわりとよく起きるの。シロタエギクのことは大丈夫」
「その根拠のない自信はどこからくるかい」
「うふふ」