【結婚と毒親 10】恋愛映画は苦手だから、もう、忘れちまったから。
【結婚と毒親 10】
《オババ》私の姑、ディズニーオタク。
《叔母》普段はおとなしい人だが、実はヒステリー性障害を患う。娘を溺愛し結婚に反対するオババの妹。
《優ちゃん》叔母のひとり娘。39歳。婚活アプリで知り合った太郎と熱愛中。
《太郎》35歳。高校時代に親を亡くし、一人で農家を切り盛する中卒の勤労青年。
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義理の従姉妹が好きな男に、私は、どこまで踏み込んで聞いてもいいのだろうか? こういう距離感って、取るの、難しいんであります。
(どうして優ちゃんを好きなんですか、本当に結婚する気ですか)と聞きたいが、いきなり聞く質問ですかって話です、これ?
それも病院の薄暗い廊下で。
叔母がヒステリー性障害を起こして、救急へ運ばれたその日に、その原因元に向かって。
(おう、君が病気の元なんで、ウイルスなんで。除去したくて、叔母、病室でうなっているから、それで、どうする?)って聞けるかって、そういう問題であって。
そして、さらに問題なのは、そういう恋愛問題に、自慢じゃないが私ほど不適任者はいない。日常に、そういう世界? まるでないから。
最近見た映画も、『キングダム』に『幼女戦記』、『アベンジャーズ』って、このラインナップみても、恋愛相談ってないでしょう。
槍なげたり、空中から銃を撃ったりの2次元世界で、人間も宇宙に飛んでくから。そっち方面なら、多少のアドバイスなど、できるかもって自信はあるけど。
宇宙人からの逃亡は、私なりに、ちょっとした方法は考えてあるし。
ただ、恋愛ね。
そこはもう、すべてバリアフリーになっているというか。
若いのも、中年も、おじいちゃんも、みんな平和的に好きだから。
ドキドキの世界じゃなく、人類みな兄弟の世界であって、ちょっと違わない? これ。
確かに、昔、青春って時代。そういう時代があったと・・・、思う。あったのか、あったとすれば、あってない、って五段活用して考えなくちゃならないほど、あったかもしれないて次元です。
恋愛に不器用な時代って、思い出すだけでも冷や汗がでるというか、ウキャって思わず声が出るというか、黒歴史は忘却のかなたにゴミとして捨てちまいたいわけで。
おーーい、誰か。その手の有段者、ここに来い!
召喚する、もう呪文でもなんでも唱えて召喚するから。
たとえば、AKIRA(id:akira2013web) さんなんて、ドラマいっぱい解説してっじゃないか。こういうの得意そうだけど。
タッチしてもらえませんか?
そんなこんなの葛藤のすえ
「喉、かわきませんか?」って聞いたんであります。
そこに見つけたんですね。神を。神のように輝く廊下の奥にある自販機を。
こ、これだ。とりあえず、これだ。
「ちょっと待ってください」と、まるで重大事項があるみたいに、
自販機で飲み物を買ってから話を、そんな雰囲気を全身で漂わせながら、心のなかは、もう相当パニックでした。
考えてみれば、太郎くんと直接話したこともなければ、それなのに親戚というだけで、それも血のつながりのない親戚であって、それがいきなりのご相談って、いったい、どの口が言ったんだか。最近の口の独立度、許せないところがあります。
頭のほうは、口より慎重で考えてもなにも浮かばない。
逆に考えれば、何を知りたいかって時に浮かんだ言葉は、かなり失礼で、
なぜ、あなたは優ちゃんのような天然、何もできないアラフォーを妻にって?
聞ける?
聞いていいの?
自販機の前でなにを買おうと悩む振りして考えていました。
でも、ずっとここにいる訳にもいかないだろうし。
というか、自販機、お茶だすの早すぎ!
もうちょっと迷って、ボタン押してから、5分くらいは、こちらの都合、考えてみるべきで、でも、2本のペットボトル買うのに、20秒もかからなかった。こっちの抱えている問題、20秒で片がつくなんてないから。
とりあえず日本自販機協会の方々に物申す!
こういうケースも考慮にいれて開発していただきたい。
たとえば、ボタンを二つにして、速攻で出すと、考えてから出すと、そういうボタンつけて欲しい。
ほら、日本技術って、これでもかってほど、繊細に開発してくじゃない。
ウォシュレットトイレをみてもさ。
自販機、さぼってんじゃない! というかサボれ!
お釣りがないとか、売り切れとか、なんでもいい。
あるいは、こういう時、どう話したらいいかというアドバイスでもいいよ。そうしてくれたら、いらないけど、10本余分に買うから。
で、まあ、仕方なく、日本茶とコーヒーを買って戻り、どちらがいいかと聞くと、彼はコーヒーを受け取りました。
「好きなんですか?」
自分が告白するよりキモい。
「あの、コーヒーが好きなのですか?」って思わす別のフォローしちまった。
ち、違う!
優ちゃんのことを聞きたいんだ。
私って、ここで逃げてどうするよ。
「はい、普段は茶ばかりなんで、こういう時はコーヒーが」
「そうですか」
会話終了。
太郎くん、もともと無口なタチなのか、それとも、面食らっているのか、何も言いません。
しばらく、気詰まりな沈黙がすぎて。
「あ、あの」と同時に口を開きました。
もう、おばさん(私のこと)、あんたが照れてどうすんの。
「いえ、あの。僕のことを知りたいですよね」
「ええ、あの、そう、そうです。あ、あの、なぜ、優ちゃんを選んだのか、それが」
「変ですか、それ」
どう答えようか、迷っていると、その窮地を太郎くんが救ってくれたんですね。
「優子さんはピュアなんです。僕の会った人のなかで、あれほどピュアな人は見たことがない、幼いころに飼っていたコロの子犬のころみたいに。僕は・・・」
それから夜の病院で、私は太郎が語る訥々とした物語を聞くことになりました。
to be contined
2022年4月、結婚に関する日本民法の改正
日本の法律上、女子の結婚年齢は16歳、男子は18歳と認められています。
民法の一部改正により、2022年4月施行を目処に、成人を18歳からと引き下げるに従い、女子の結婚年齢を18歳からに引き上げる法案が成立しました。