アメリッシュガーデン改

姑オババと親戚の物語をブログで綴ってちいさなディズニーランドを目指してる・・・、な〜〜んてな

【異世界転生 2:明智光秀と織田信長】500年の時をこえ、戦国時代の女たちよ、生き伸びてくれ!アニメドラマ『Dr.STONE』

登場人物:オババとは私の姑。ディズニー狂で元気一杯の76歳。【結婚と毒親】シリーズでは、多くのオババファンができました。そして、今回は戦国時代に意識だけが飛び、他人の身体で生きるオババ&アメリッシュのお話です。

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戦国時代

(前回までのお話:姑オババと共に目覚めたそこは戦国時代。自分の姿も20代の女性に変化していた。この場所がどこもわからない夜、小屋に汚い男が侵入していた)

夜這い

 

いきなり掘っ立て小屋に暴行魔が現れた。

 

臭い匂いをまき散らして、男が襲いかかってきたんだ。

暴行される!

 

これ、絶対にありえない!

 

ムリ!

ムリだから!!

 

とっさに私、大暴れした。オババが、そこへもって近くにあった薪で男を殴ると、ぎゃっと言って、あっさりと尻餅をついた。

 

「な、な、なんだよ、おマチ」

「おマチってなに!」

「あんた、おマチやろが」

「おマチ? それが私の名前」

「だいじょうぶか」

「あんた誰?」

「何いうとん。オレや、マサだよ。坂本村のマサ。明日から兵にでるから、今日、行くって話がついとんやなかっんたか」と、男は立ち上がると、再び近づいてくる。

「ついてない。絶対についてない。完璧についてない!」

「だってよ、オヤジさんが病で死んで働き手もないし、だから、これから困るって。あんたの母ちゃんがウチの母ちゃんに言ってきて、だから、おマチは年食ってるけど、よけりゃって。オレ、昔っからおマチが好きだったから、年上でもいいって」

 

年食ってるって、どうみても私の姿、まだ20才そこそこだぞ。

その上、女に老けてるって、いいか、そのおマチに代って私が成敗・・・、ってそういう問題?

オババを見ると、奇妙な表情を浮かべていた。

 

「あんた名前は」と、オババが聞いた。

「でえじょうぶかい、あんたたち。マサや。ほら、下の川向こうに住んどるマサや」

「そうか、マサか。ちょっと聞きたいことがあります」

「なんだよ、ちぇ、まだイテぇよ、コブができてら」

 

マサは土間に座りこむと、痛む頭を撫でているが、それ以上は何もしない、単純な男で、それほど悪いやつじゃなさそうだが・・・、

いや、悪いのはこっちなのかもしれない。

 

「事情がわからないのだ」

「事情がわからんって、そりゃ、こっちや」

「教えて欲しい。どこに戦いにいくのだ。マサとやら、あんたは自衛隊か、中東にでも行くのか」

「またまた、訳わからんことを、じ、じえいだん? なんやそれ。いいか、オレは斎藤さまの元で戦うことになっとる」

「斎藤さまって、誰?」

「え? 斉藤さまは斎藤さまよ。明智さまのとこの、ご家老さまで、そこの雑兵になるんや」

 

雑兵? 明智

この関西弁のアクセントが強い男の発音を聞いていると彼のせいではないと理性では理解しても、むしょうに腹が立ってきた。

冗談じゃない。この男は何を言ってる。

と、オババが薄暗いなか静かに聞いた。

 

「マサとやら、今は何年だ」

「何年? そんなこたあ、知らんで」

「知らんと」

「知らんわ」

 

年代を知らない。無知? 戦国時代の庶民としては、それは普通なのかもしれない。

 

「ここはどこか」

「ますます変やな。ここは近江の国の坂本や」

 

おうみ?

近江って、昔、滋賀県のことをそう呼んでいた。

明智、斎藤、近江、年代もわからない粗暴な男。うす暗がりで見る男は、しかし、よく見ると少年に近い。まだ10代なのかもしれない。

飛びかかってきたときは、オヤジだと錯覚したが、そうではない。少年兵・・・、もう確信するしかない。ここは、過去の、それも戦国時代だ。

 

明智さまとは、明智光秀のことか」

「他に誰がいるんじゃい」

「まさかと思うが、織田信長は生きているのか、今」

「おばはん、夫を亡くして頭がいかれたんかい」

「生きているのか」

「生きてるわ」 

「オババさま」

「ああ」

「ところで、マサとやら、今日は帰れ!」

「だけんど・・」

「もう一回、殴られたいか」

「そ、そんな殺生な」

「殴るぞ」

「おばさん、怖過ぎや」

「いいか、マサ。悪いことは言わん、別のに夜這いをかけよ」

「おばさん」と、マサは頭をかいた。

「なんかいつもと違って、怖いな」

 

マサはみるからにシュンとして、それから、一回だけ物欲しげに振り返ると出て行った。

 

「オババさま、これは」

「ああ、とんでもないことになってる」

「ここは戦国時代です。私のすべての、歴女の誇りにかけて言えます。戦国時代です」

「それもだが。その前に、これはどういうことだろう」

明智光秀織田信長って、歴女としては垂涎の」

「いま、そこか」

 

静かな戸外から、虫の声が聞こえてきた。

風の音、虫の声、カエルのなき声、ときどき遠吠えのような獣の声も・・・

どれだけ闇は深く、静かな世界なのだろうか。

日が暮れると誰もが眠る世界だとは本で読んでいた。テレビも電気もないのだから当然のことで、娯楽といえば・・・

 

私は慌ててドアにつっかえ棒をした。

別の男がきたら困る。

 

「マサとか、あの男が言う織田や明智が生きてる時代として、今は何年だと思う」

「琵琶湖に浮かぶ城のシルエットが見えました。あの城が坂本城だとすれば、1573年から本能寺の変が起きて焼失する1582年の間ってところでしょうか、あ!」

「どうした」

「夢の水城。坂本城を見れる」

「だから、いま、そこか」

 

いや、これはぞっとするべきところだ。戦国時代でも、もっとも危険な、そして、疲弊した時代だ。一般庶民なら食べることも困り、疫病も多い。気を抜いたら死ぬ。死が身近すぎて誰も頓着しないような恐怖の時代だ。

 

「ところで、お腹がすきませんか」

「カマドで湯を沸かした。日中、この部屋を漁ったらアワとか野菜が少しあって、あとは味噌と塩もみつけてあります」

「カマドを使えるんですか?」

「私の子ども時代には、どの家もカマドを使っていましたよ」

「さすが、オババさま」

「とりあえず、雑炊でも作ろう、まあ、この材料じゃ他のものは作れないが」

 

アインシュタイン理論と兵役

 

土間の周辺におかれた粗末な鍋に材料を突っ込み、料理することで、少し気分が紛れてきた。

私は正面からオババを見つめた。満月の明かりがその顔をより青ざめてみせている。そうだ、オババだって私同様に、ものすごく心細いにちがいない。人はそういうとき、奇妙な行動をするものだが、例えば、私がひっきりなしに指を絡ませているように。

しかし、オババは無心にカマドに薪を入れ、鍋の雑炊をかき混ぜてるだけだった。

 

その姿を見てながら、私は一つの推論にたどり着いた。

 

「おそらく、これは推測ですが、意識だけが交換されたのかも」

「なんですか、それは」

アインシュタインが言っておりました。時間と空間は常に連続して存在すると。私たちの3次元しか認識していないから、理解できないと。そう考えれば、異空間であるこの時代の、たぶん、戦国時代の農民の女性とわたしたちの意識が交差して、そして、私たちの意識がここにあるという状態と考えれば」

オババは鍋をかき回す手を休めた。

「アメよ、もしその仮説が正しいなら、今、2019年に、この時代のオナゴの意識が飛んでることになるぞ」

「そ、そうです。それを想像すると」

「現代文明に、この時代の人間が平常心を保てればいいが、まず夜の照明の明るさに卒倒するかもしれない」

「パソコンやスマホ、壊されたら嫌ですね」

「それは困る」

「この何もない状況から、いきなりの文明社会。もし、車にむかって飛び出したら」

「私たちの体は死ぬ」

 

私たちは、それから思う限りの悪い結末を予想した。

それは一種のゲームのようで、夢中になって戦国時代の人間が未来に飛んだ時の心理状態を連想して言い合った。

あまりに夢中になり、しばらく、自分たちの状況を忘れることができた。

 

「やめましょう」

「ああ、今、考えることではない」

 

雑炊がグツグツと煮だっている。暗闇で料理をよそうほど難しいものはなく、私は指に軽いやけどをして、オババは足もとに半分こぼした。

 

「も、もし、もしですよ、ガスをひねって、火を消したら」

「ガス中毒死」

 

私のベッドで目覚めるだろう、おマチ。未来の先進技術など見たこともない原始人にちかい存在で、まず、最初はベッドから落ちて転ぶだろうな。それから・・・

 

「ルンバが動き出し、テレビが話し、時計が鳴ったら」

「恐怖で心臓麻痺」

「コンセントに指を入れる」

「感電死」

「ドアがいきなりしまったら」

「打撲死」

エスカレーターで転んで」

「転落死」

 

わたしたちは再び深く深く沈黙した。

 

「文明社会って・・・」

「危険がいっぱいだ」

「戦国時代で生き延びるのと、文明社会で生き延びるのと。どっちが生き残る可能性が高いんでしょうか」

「われらのほうが、知識があるが、しかし、こっちの世界は飢え死にするのが普通のサバイバル時代、生活保護制度もないし、ここで生き延びられようか」

「オババさま。なんとしても生き延びて、そして、帰りましょう」

歴女よ、案はあるのか」

「2日もすれば食べ物がなくなるし、お金は?」

「この廃屋で、それは望みが薄そうだ」

「それに租税、税金が7割とか、そんなものがきたら、私たちでは払えません」

「税がそんなに高いのか」

「戦国時代ですから、普通です」

「悪代官だのう」

 

貴族や武士ならまだしも、普通の庶民が生き延びるのが難しい時代。平均寿命が15歳・・・

言いたくなかった、ほんと言いたくなかったけれど、それしか方法がないのも事実であって。

 

「兵隊になりましょう」

「兵?」

「食べるために兵になると読んだことがあります。徳川四天王のひとりだった本多忠勝が手記を書き残しています。

『男の中には血の匂いを嗅いだだけで、めまいのしてくる情けない者もいるが、女は毎月そうしたものに慣れているせいか、いざとなると度胸がすわっている。戦場で真っ先に突進して行く。当今の武者よりよほど勇ましかったものだ』と、

とくに火縄銃とか投石部隊などが女で編成されていたらしいです」

「なるほど、しかし、人殺しなどできませんよ」

「大丈夫です。この時代の農民兵は食いはぐれて志願した兵ですから。そんなだから、危ないとすぐ逃げて、それほど死者はでないんです。大将がやられたら、ともかく逃げる」

「そうか、それならなんとか」

「いけるでしょう」

「今日は寝よう。明日になれば、自分のベッドで夢から覚めるかもしれん」

 

話をやめると、途端にカエルのなき声が大きく聞こえた。

と、それに返すように、ふくろうが、ほ〜〜ほ〜〜と声をあげる。

ジャングルのような野生の音に包まれ、心細さがつのり不安が増してくる。

本当に大丈夫なのだろうか?

これは夢で、明日になれば、また、自分のベッドで目覚めることができるだろうか。

 

「ま、まずかったですね、雑炊」

「まずかった。昆布もカツオ出しも、肉の旨味もないから仕方ない」

 

カエルの声がかしましいうえに、耳もとでは虫が飛ぶ音がする。

 

「虫避け、欲しいですね」

「ここで生きていくなら、そんなことを気にしていられないだろう」

「テレビ、『グランメゾン東京』が日曜日に放映するんで、続きがみたいです。録画してくれてないかな」

「あそこに出てくるフランス料理」

「よだれものです」

 

言葉を失って、泣きそうになった。オババが我慢しているのだから、ここで泣いたって・・・

 

「音楽と本が欲しい。長年の眠る前の儀式なんだが」

「便利な技術があって当たり前でしたね。ここじゃ、火をつけるだけでも一苦労です、水道もないから、水汲みにいかなきゃいけないし」

  ・

  ・

 

「目覚めたら2019年ですよね」

「そう、きっと、そうなる」

 

・・・つづく

 

*内容は歴史的史実を元にしたフィクションです。

*歴史上の登場人物の年齢については不詳なことが多く、一般的に流通している年齢を書いています。

*歴史的内容については、一応、持っている資料などで確認していますが、間違っていましたらごめんなさい。

参考資料:#『信長公記太田牛一著#『日本史』ルイス・フロイス著#『惟任退治記』大村由己著#『軍事の日本史』本郷和人著#『黄金の日本史』加藤廣著#『日本史のツボ』本郷和人著#『歴史の見かた』和歌森太郎著#『村上海賊の娘』和田竜著#『信長』坂口安吾著#『日本の歴史』杉山博著#『雑兵足軽たちの戦い』東郷隆著#『骨が語る日本史』鈴木尚著(馬場悠男解説)#『夜這いの民俗学赤松啓介著ほか多数

 

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Dr.STONE」イメージ (フリーイラスト素材集 ジャパクリップより)

アニメドラマ『Dr.STONE

テレビ放映中。

原作者:稲垣理一郎(週間少年ジャンプ連載なか)

人気漫画のアニメ化。

最高におすすめです。異世界ものですが、ともかく面白いです。

 

【簡単なあらすじ】

人類が化石化した数千年後。文明がほろんだストーン世界で、天才高校生、千空(せんくう)は化学の力で、ゼロから文明を取り戻そうと試みる。

 

千空の名言

「化学ではわからないこともある、じゃねぇ。わからないことのルールを探す、このくっそ地道な努力を化学と呼んでるだけだ」

見応え十分、はまっています、千空、かっこよすぎます。

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