【お笑い天下統一:明智光秀の謎2】ブラック企業って何? 織田信長はブラック企業のベンチャー社長か? と、映画と小説『火天の城』
ブラック企業として認定される条件を、厚生労働省が次のようにWEBに掲載しております。
厚生労働省のサイト、確かめよう労働条件
これ読むとね、もう冒頭から笑えるよ。
『ブラック企業について定義していませんが』という文章から始めているのです。厚労省、もう冒頭から逃げる気マンマン。
ブラック企業について書くよ、書くけどね、こっち責めんでねってそんな文章。最初にたたき台を作った若い方。先例を見ながらの言葉使いから細心の注意をしてんなってわかる。
最初の一行目から定義していないって、ブラック企業にさえ気を使うその対応、あっぱれです。さすがの公僕であります。一寸のスキもございません。
(いいか! もう誰も俺ら厚労省を責めんな。気をつかって、10回くらい読み直して、主任、係長、課長補佐、室長、課長って印鑑押して、どこにも責任がいかないよう、細心の上に細心の注意をはらって作っとるからな。決して訴えるな)
大丈夫です。完璧です。
で、厚生労働省がブラック企業と定義してないけど、定義しているブラック企業とは・・・
と書いた上で、さらに『などと言われています』とシメの記述も抜かりない。
どこでも、いつでも使い勝手のいい『言われています』。
私も使てっから。断定すると、いろいろと問題があって、誰が言ってるか知らんけど、ともかく、『言われている』って書いときゃ、責任は、どっかで言ってる奴の話になるわけで。
いやいやいや・・・
決して役所を責めてません。どちらかといえば、心情的にはあなた方の味方で、多くのそれもとても良い方々を個人的には存じています。ま、どうしようもない人も知っていますが、それって、世間でも同じことであって。
だって、人間だもの(by 相田みつを)
それに、公務員だから文句言えないだろって、殴り込みで抗議してくるようなモンスターな方もいて、それはそれでご苦労なさっているでしょう。
厚労省が言うブラック企業対応策
『このような企業に就職してしまった場合の対応としては、第一義的には会社に対して問題点の改善を求めていくことが考えられます』
それができる会社をブラックとは言いません。
『しかしながら、新入社員が単独で会社に問題点の改善を求めて交渉等をするのは現実的には非常に難しいと考えられます』
ごもっとも。
『したがって、問題点に応じて外部の関係機関や労働組合に相談することも有効な手段と考えられます』
まる投げかい!
さて、戦国時代の武将と武士の関係は給与をもらうことでの契約関係でした。今のサラリーマンと同じなんであります。
へ?って思った、あなた。
私だって思ったわよ。
武士って、武士は食わねど高楊枝じゃなかったんかい。
誇りを重んじてじゃなかったんかい。武士道って、それサラリーマン道だったんかい。
でね、調べるとやはり武士もサラリーマンだった。
武士の給与はコメで、それを禄高(ろくだか)と言います。
一反はおおよそ1000㎡で収穫できるコメの量で、禄高10を給与として与えるというと、10反の土地でとれるコメの量って意味。
出世すると禄高が増えるし、だから、頑張る。サラリーマンだ。
当時の様子を描いた『火天の城』という映画があります。
名工・岡部又右衛門が信長の要請にしたがって安土城建設を描いた映画ですが、そこでは武士と城主と領民の関係がよくわかります。
で、戦国時代、織田社長を筆頭とした、織田株式会社はどうよ、ブラック企業なんかいってことですが。
以下、厚労省が考えるブラック企業を認定するマニュアルを織田家に当てはめてみると、
労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す。
大いに当てはまります。とりあえず、社員のひとり、豊臣秀吉で証明しましょう。前回のブログでは京へ上洛して義昭を将軍にするための戦いをしましたが、その折、史実によると、秀吉とその兵は、7時間、ばっちり戦ったのち、箕作城を落とせず、深夜、さらに攻め込んで、明け方近くに落としました。
まさに長時間労働とノルマです。
賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い。
秀吉、信長から「サル!」と呼ばれています。人間以下扱いです。
こうしたパワーハラスメントは多いです。しかし、1点、賃金不払いはありません。なにせ、破竹の勢いの信長です。賃金は払います。
しかし、この後、明智光秀を雇いますが、彼に与えた土地は、まだ信長が支配していない土地、まさに賃金不払いなんてことも、余裕でしでかしてます。
このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う。
秀吉は働きがいいために出世していますが、逆に悪かった譜代の家臣は、結構、外されています。いわゆる、実力・能力主義です。
ということで、織田会社はブラック企業です。
厚労省の方々へ
お忙しいでしょうが、500年ほどさかのぼり、是正するよう勧告書類をお送りいただければと存じます。
上洛した織田信長
1568年、京都に上洛した織田信長の地位といえば、波に乗ったベンチャー企業。中小企業から大企業への最初の一歩をすすんだところです。東証1部に株式上場したところです。
この超おすすめ優良企業はブラック企業です。
まあ、現代でもそうですが、こういう勢いがある会社、最初はやはりブラックである可能性は高い。
さて、室町幕府再建という名目で京にあがり、一応の成果を経た信長ですが、正月は地元でと、岐阜に帰りました。
それまで、京で実権を握っていたのは三好三人衆とその他もろもろ。
ちなみに、この三人衆とは、これまで三好家を支えてきた重鎮の集合体で、おじいちゃん3人組。
一応は織田信長に戦いをいどんだけど、とてつもない力の差に、あっさりと負けて、思いっきり逃げたんであります。四国の阿波のあたりで、こそこそしてたんであります。
さて、阿波国に撤退した三好三人衆が将軍にした第14代将軍義栄は半年で譲位になり、持病もあって死亡しました。29歳とも31歳とも言われています。あっけない最後でありました。
一方、信長は足利義昭を第15代将軍にまつり上げ、天下布武を唱えた。
そして、彼、皇室からも将軍からもあげると言われた名誉ある賞をいらないって断ったんであります。
みな、慌てました。その上に天下布武を宣言。
「天下に7徳の武をひき平和をもたらす」という意味です。
逃げた三好のじいさんたち、イライラしどうしであります。
「て、て、天下布武じゃと!」
三好三人衆の長老は、屋敷の欄干で阿波の冷たい海風に晒されながら叫んだ。
「殿、血圧があがろうかと」
「許しがたい、たかが地方侍ごときが、天下布武じゃと」
「しかし、殿、朗報もございますれば」
「申してみやで」
「あの信長」
「胸糞わるい名前を言うであらへん!」
「は! ではなんと」
「ウツケのど田舎モンのへなちょこ荒くれ若造や」
「は、では、その、ウツケのど田舎モンのへなちょこ荒くれ若造めですが、岐阜に帰りました」
「アホ、それを、はよ言え」
三好の長老はほくそ笑んだ。
「京に帰る」
「は?」
「帰るんじゃ。第15代将軍などと、なにが将軍じゃ。まずは足利義昭めを滅ぼす」
「な、なるほど。殿、上策かと。1月の雪では、信な・・・、あ、ウツケのど田舎モンのへなちょこ荒くれ若造も、こちらには出てこれませんな」
「兵を集めやで」
「は!」
「ぅおほほほほほ」
長老の上機嫌な高笑いは、いつまでも阿波の海に響いていた。
って、3分くらいかな。
寒かったし。
―――――つづく
映画『火天の城』
2009年公開
監督:田中光敏
Huluで鑑賞可能です。
簡単なあらすじ
織田信長に安土城の建設を依頼された、宮番匠である岡部又右衛門。城造りの名だたる棟梁とともに、信長の前でプレゼンを行う。これが現代のプレゼンと似ていて、面白しろいです。
彼のプレゼンは、周囲の度肝を抜き勝利。部材だけでも4万点という前代未聞の城郭要塞を建設することになります。
「バケモノのような城じゃ」という岡部の言葉が印象的です。
ま、内容はご想像の通りの築城の苦労話と信長という男の志。それから、名もない庶民たちの物語です。名作です。
*内容には事実を元にしたフィクションが含まれています。
*登場人物の年齢については不詳なことが多く、一般的に流通している年齢を書いています。
*歴史的内容については、一応、持っている資料などで確認していますが、間違っていましたらごめんなさい。
参考資料:#『信長公記』太田牛一著#『日本史』ルイス・フロイス著#『惟任退治記』大村由己著#『軍事の日本史』本郷和人著#『黄金の日本史』加藤廣著#『日本史のツボ』本郷和人著#『歴史の見かた』和歌森太郎著#『村上海賊の娘』和田竜著#『信長』坂口安吾著#『日本の歴史』杉山博著ほか多数。