《オババ》私の姑、人類最強のディズニーオタク。妹の夫とは同級生
《叔母・勝江(仮名)》オババの妹、ヒステリー性障害を患う。娘を溺愛し結婚に反対。
《叔母の夫》米国に本拠地を置く会社のCEO。自宅も会社も電話がつながらず所在不明
🌋 🌋 🌋
数十年も前の罪、それも自分が加害者側の場合、その膿(うみ)は、その罪人の人生をどう左右するのだろうか。
被害者のPTSD(心的外傷後ストレス障害)については、いろいろ書かれていますが、加害者の場合は?
罪を犯した人間が警察に捕まったとき、ホッとするそうです。心に巣食う罪悪感は、人の心を蝕むものなのでしょう。
姉の愛する男を奪う。
犯罪ではありませんから、警察は逮捕しません。
私の姑オババとその妹。
ふたりの間には、妹の夫という、若い頃には、さぞモテただろう魅力的な男がいます。
ふたりは、男をめぐる関係に蓋をして、休火山のままシニア世代まで生きてきました。
その長い時を刻んじゃった休火山が、今になって噴火の危険性が増していて、
それって、古代ポンペイのヴェスビオス噴火に近い感じで、一瞬であたりを焼きつくしそうで、
噴火警戒レベル4!
気象庁によれば、それ、避難準備の段階だから、
『警戒が必要な居住地域での避難の準備、要配慮者の避難が必要』ってレベル。
アメリッシュ、
以前も書いたけど、心が脆い。
自分的には、この場合、要配慮者であって、すでに避難すべき状況であります。
ついでに位置関係を描写しておくと
叔母の自宅キッチンには一枚板の重厚なダイニングテーブルがあるわけ、
けっこう、大きい作りです。
オババが耳にイヤフォンつけて音楽聞いても、正面に座っていると、完璧に聞こえない距離感。
そして、オババの隣に座っている私にはかすかに聞こえます。
つまり、オババの右に私が座り、正面に叔母って位置です。
アメリッシュ、昔からの怖がり、どこでも逃げ道確保の精神で生きていますから・・・
オババの右隣が、一番玄関ドアに近いんで、そこ、確保した。ここまでは、でかしたって自分を褒めてる。
でもって、ちょっと失敗したな、とも思ってた。
玄関ドアより、庭への掃き出し窓が近い。しかし、そこへはオババの背後から逃げねばならない・・・
んでもって、昨日のブログ。
「私、妊娠したって嘘を言ったのよ。あの男に」
って、叔母が吠えた瞬間に、オババの顔色が変わり、私は右足を椅子から出しわからないように、椅子を背後に押した。
「じゃあ、流産って」
「結婚してから、そういうことにしたの」
で、私、猫背になって、スタートダッシュ態勢。
もう、噴火直前。
警戒警報レベル4.5
「あの男はそれを知っているの」
「知らないのは姉さんだけよ」
レベル5!! レベル5!!
要配慮者、すでに避難が完了してなきゃいかんかった。
そっと、椅子から横にずれて、匍匐前進しようとしたら
オババにシャツ、掴まれた。
つ、強い! で、オババ、
「そう」って、むちゃくちゃ低い声で目を細めた。
もうメッチャ、警戒警報!
レベル5までが気象庁のレベルだけど、ここレベル6!
鐘ガンガン鳴ってる。
オババ、シャツ掴んだまま、こっちを、ゆっくりと流し目で見た。
こ、怖い!
私、ニコって、ひきつりながら笑ってみた。
オババ、片方の唇をあげ、得意のハリニヤ(ハリソンフォードの笑い方)を浮かべた。浮かべたけど、いつもと違う。
いつもの余裕かましてる奴じゃない。
ちょっと泣いてるみたいに見えて・・・、心が冷えました。
で、トスンって、椅子に戻りました。
OK、Googleじゃない。
OK、オババ。
噴火しろ、灰は受け止めよう。
盛大にやってやれ!
「あなたの結婚がダメになったのは、私のせいだと言いたいの?」
え? オババ、噴火方向、そっち?
じゃないでしょ、普通。男を騙し取ったって、そこ怒るところでしょ。
そっち方面じゃない?
噴火の火吹き加減、間違ってない?
で、その間違い火の粉に、叔母、ぜんぜん動じない。
見事に受け止めた!
「そうよ!」って断言した。
おいおいおい、がっぷり四つに組んで、
なんでか、叔母のほうが被害者ヅラ。
オババ、徹底的に喧嘩の方向性を間違ってるから
「あの」って私、言った。
私の正義感がバカだったと気づいたのは言ったあとで、相変わらずの後悔先に立たず。
「喉が乾きませんか」って。
オババ、今こそ、ここで、かませ!
噴火の位置を直せって、救出用のタオルを投げてみた。
「こんな大事な話をしてるときに、喉など乾きません。緊張が足りん!」
って、ふたりセゾン。
オババと叔母、同時だぁ。
さすが、姉妹、息だけは合ってる。
って、私、泣いてもいいですか?
to be continued
映画『ポンペイ』
古代におきたヴェスビオス火山の噴火を扱った超大作です
無敵の剣闘士(グラディエーター)として生きるマイロは、ポンペイの有力者の娘カッシアと身分違いの恋に落ちます。
西暦79年8月24日、ヴェスビオス火山が噴火。
マイロは奴隷の地位から自由を得て、愛する人を救い出すことができるかってのが縦糸で、
ヴェスビオス火山の噴火が横糸です。
古代の史実に基づいた映画です。
一瞬で人々を飲みつくす火山の恐怖を描いて秀逸な作品でした。
噴火で罹災した人間を象った樹脂製の像など、当時の悲惨さを物語っています。災害の多い日本人にとって、人ごととは思えない歴史上の出来事です。