アメリッシュガーデン改

姑オババと私の物語をブログでつづり、ちいさなガーデンに・・・、な〜〜んて頑張ってます

【結婚と毒親 19】映画『ダイ・ハード』の意味って、しぶとい奴だってさ。親離れ子離れ、しぶとくなるんだ

《オババ》私の姑、人類最強のディズニーオタク。

《叔母》オババの妹、ヒステリー性障害を患う。娘を溺愛し結婚に反対。

《優ちゃん》叔母のひとり娘。39歳。婚活アプリで知り合った太郎と熱愛、過保護母に結婚の邪魔をされている。

《太郎》35歳。高校時代に親を亡くし、一人で農家を切り盛する中卒の勤労青年。

 

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夜の国道でスマホが鳴っています。

誰が鳴らしているかって? そんなの見るまでもないから。

今は慣れないトラックを運転して、スマホなんて取れないし。

 

必死に運転しましたよ。

 

なにせ、私、ものすごく運転が下手。

 

痴呆を患った父を病院に連れて行ったとき、

うまく駐車できずにフェンスにぶつけてしまった。

「下手だなあ」と車好きの父を一瞬だけ正常に戻したくらいに下手。

 

そんな筋金入りが、なぜ、トラックなんて難易度でいったらマックスのハンドルを握っているのかって話です。

 

ダイ・ハード4』では、戦闘機に爆撃されながら、世界一運の悪い男マクレーン刑事もトラックを運転していた。

運転にかけちゃ、プロ級だったし、ブツブツ不平をつぶやいても難事件に向かうだけの、身体能力を持っていた。

てか、マクレーン刑事、不死身すぎ。普通ならもう病院送り、下手すれば、そのまま棺桶だ。

私なら、映画最初の10分で全身打ち身、手足すべて包帯で入院中だから。

 

ちょっと脱線するけど、ダイ・ハード第6弾の映画化が決まり、『マクレーン』って題名らしい。不運だった20代の頃の話だって。

きっとありえないほどの不運にちがいない。よく生きているってほどにちがいない。

それにしても、20代からって、マクレーン、もう前世でどんだけ悪いことしてたの?。そして、それでも生き延びたって、もしかして、運がいい? 前世で徳を積んだ?

 

私、戦闘機に爆撃されてた訳じゃないし、

平和な日本で、制限速度で走るトラックの運転だけど、

危機感的にはマクレーン入ってた。

 

遠く、暗闇のなかで、妙にギラギラ輝く看板がみえたとき、どれほど嬉しかったか。やっと駐車できそうな場所を見つけたって、

それ、デニーズでした。

 

あそこで止めよう、そして運転を変わろう。

ウィンカーを入れた。

 

ワイパーが動いた!

 

え?

 

じゃあ、これ?

今度は、ヘッドライトが消えた。

 

まずい!

 

夜にライトなしで走ったら、警察に捕まるって

ところで、普通免許で運転できるの?トラックって?

わかんなかった、この時は。

で、そう考えたら、ますますテンパった。

あとで調べたら、小型トラック(2トンから3トン)までは大丈夫らしい。

 

警察に捕まらなかったけど

捕まっても大丈夫だった。

 

で、ウインカー!

 

私、窓を開けて大声で叫びました。

「ウィンカー! どこ」

「なんっすか?」って太郎くんの声が小さく聞こえた。

「ウインカー!」

「右側にあるレバー」

そ、そっか、同じか、パニクって左のレバーをカチャカチャしてた。

 

この冷や汗ものの運転を思い出しながら、

いま、自宅でパソコンに向かってます。

一応、私も主婦なわけで。

夕食の準備もあるわけで。

 

今日の夕食はカレーです。

 

アメリッシュ家のカレーは10種類以上の野菜を大鍋にぶっこんで、

最低でも3時間は煮込む。

 

で、2分おきくらいにかき回さないと、とんでもない代物になるわけ。

で、『トラックの運転』って書いて、

2分ほどでキッチンに向かい、カレー鍋をかき回すって、そういう単調作業を、ずっと繰り替えしていて。

トラックの鍋だっけ、カレーのウインカーだっけと、混乱してきちまい、

 

でね、途中で

そうだ!

軽トラックって運転してもよかったの? と思い出したのよね。

ネットで調べることにした、っていうのは、さっき書いたよね。

 

あそこで時間、かなり取られた。

つい夢中になって調べて、時間を忘れたわけ。

予想外の敵がいた。

 

いま、カレー瀕死の状態。

焦げた匂い、軽くするわけ。

で、必死にかき回して、それから、またブログに戻ったわけで。

もう、なにがなんだか。

 

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とりあえず、カレーの犠牲は忘れて、あの日に戻る。

 

デニーズに、なんとか駐車したとき、太郎くんが

「優ちゃん、死にそうです」って、抱えていた。

 

死にそうなのはこっちであって、その甘えた優ちゃんの姿をみて、

確かに、叔母は困った人で、娘を完全に支配してきました。

だから、自立なんて言葉、無理だってわかっていたけど、

わかっていたけど、イライラしたんであります。

 

そういう叔母に精神的に削られて抵抗もしてこなかった。

今度は太郎くんに、そのまま縋りつくのかって。

39歳は大人なんだって、大人ってのは自分のすることに責任を持つっつうことであって、いつまでも洗脳されるばかりじゃいけない。

 

「太郎さん」って私、言いました。

「少し、優ちゃんと二人で話したいのだけど、先に店に行ってくれる」

たぶん、私の態度、かなり強烈だったんだと思います。

彼、少し考えてから、なにも言わず店に向かいました。

 

死にそうって言われた優ちゃんは、小首を傾けて待っています。

 

「優ちゃん。これからどうするのか考えた?」

「・・・・」

「叔母さんと一生暮らすのか、太郎くんと結婚するのか」

 

優ちゃんには答えがなさそうでした。

 

「叔父さんも叔母さんも先に亡くなる。そうした時、あなたはどうするの? どうなると思う?」

「太郎さんと結婚したい。けど、ママがダメだって。結婚なんて不幸なだけだって。ママと一緒にいるのが、私の幸せって言ってて。私みたいな何もできない女は、結婚してもひどい目にあうから。そんな目にあうなんて見てられないって、ママが」

 

いったい何回、ママって言うつもりなのだろうか?

デニーズのネオンサインが優ちゃんの顔に照射し、青ざめてみえます。生きてるとは思えない顔で、そして、確かに自分では生きてないのです。

 

「ママがとか言っていたら何もできない・・・。そしてね、そういう気持ちで結婚したら太郎さんを不幸にする」

 

優ちゃんは言葉を発するのに、2、3秒はかかる。もう現代に生きてない。平安時代のお姫様かってな子なんです。

 

「太郎さんを不幸にする」

「そう、理解できる?」

「わたし、でも、今のままではダメって、だから婚活アプリで太郎さんと」

「そう、よく頑張った。じゃあ、もっと頑張れるだろうか」

 

また、2、3秒が過ぎた。

 

「ママを捨てることができる?」

「捨てなきゃいけないの?」

「そう、捨てなきゃいけない。ママが言うことが正しいって思っていてはだめなの」

 

しばらく、黙っていた。それから、優ちゃん、ポツリと呟いた。

 

「わたし、ママの望むとおりにしてきた・・・、それがいけなかったことなの? 学校では先生や親の言うことを聞きなさいって」

「小さいころなら、それでいい。大切なことよ。でもね、ある年代を過ぎたら、自分で考えなくちゃ。親がだめだから自分がこうなったって、そういうことではないの。その意味がわかる?」

 

優ちゃん、下を向いてます。

 

「子育てでね。もっとも難しいことって、優ちゃんにわかる?」

 

ゆっくりと首を振ります。

 

「親が子離れする時期なのよ。その意味はね、子どもは親を踏み台にするってことなの。親が踏み台になり、子を世間に送り出すことができるかってことなの。それは寂しいことだけど、やらなきゃいけない。叔母さんは、あなたを取り込むことしか考えていないから、あなたはいつまでも思春期で止まってしまった。だから、叔母さんを踏み台にできないでいる」

 

また、沈黙。しばらくして、ポツリと優ちゃんが言った言葉は、

まさかの「親ってかわいそうね」であった。

 

かわいそうなのが自分だと、いつ気づくのだろうか?

 

「そう、親って報われないの。でも、それでいい。自分の子を持ったとき、子どもに、親から受けた無償の愛情を返していくの。あるいは、大人として社会に還元するの。そうして、親の愛情を次世代に順番に返していくことが大切なことなの。そういう子を育て、親は誇りにする、それ以外にないの」

「私、・・・わかりません」と言って、そこで2、3秒考えてから「でも、わかるよう努力してみます」と呟いた。

 

正しく理解するには時間が必要だろう。ただ、この時、優ちゃんは自分を『私』と言った。

優子りんとは言わなかったのです。

 

「さあ、行こう! ほら、見てごらんなさいな。優ちゃんのこと、本気で愛そうって覚悟を決めた男が、あそこで待ってる」

 

デニーズのガラス窓から、太郎くんが心配そうな表情でこちらを見てました。

優ちゃん、その顔をしばらく眺め、うんというように、うなづきました。

それから一歩前に進んでから、こちらを向き、微笑んだのです。

 

「ありがとう」

 

to be continued

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